殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

追放

2008年10月29日 21時55分10秒 | 不倫…戦いの記録
「I子は、かわいそうな女なんだ…」

夫が不慮の事故で亡くなり、東京からこちらへ戻って来たそうです。


持ち前の美貌で、年の離れた元ヤクザの社長に見初められ

再婚しようとしたけど、ハイミスの娘に大反対されました。

失意の時、たまたま社長主催のゴルフコンペがあり

さらにたまたま同じ組で回った夫と出会って運命を感じ

社長と別れようとしたけど、愛されているから離してくれない。

別れるなら母親共々ひどい目に遭わせると脅迫され

とても怖がっているので

しばらくそばに置いたほうがいいと思って会社に呼んだそうです。



      おぉ、美しいストーリーじゃないか…

      しかしねぇ…そのゴルフコンペより前に

      資格取りに行ってるんだよね~
         
          …言わないけどさぁ…


        「じゃあ、いつぞやの電話は、その社長さん?」

「うん…」

        「結婚がパーになって逃げられたからって

         分別盛りのオヤジがワーワー言うかな?」

「それだけI子に惚れてたってことじゃないのか?
 
 俺に別れろ切れろと言ってたけど、自分が離したくないんだ。 
 
 うちのオヤジみたいな色気じじぃなんだろう」


              今はおまえだよな… 


コンペで同じ組になったのも

運命ではなく何らかの作為があったと想像するのは容易でした。


        「あんなに怖がってるお義父さんに

         よく雇ってって言えたよね…愛の力?」


「さぁ…ただ、俺たちも色々考えて

 まず親父を落とすことに決めたんだ」

             ほぅ…俺たち…


「親父が毎朝行く喫茶店にI子を行かせて、出会いから入ったんだよ」

金をもらおうとしている人間は、いくらでもしゃべるものです。


      「じゃあ、もしかしてお義父さん

       I子さんのこと自分の獲物と思ってたんじゃないの?」


「うん。最初はその作戦。

 入ってしまえば、なんとでもなるから。

 お袋の手前、親父もおおっぴらなことはできないし。
 
 I子が経理もやりたいと言うから
 
 そのうち二人で姉貴を追い出す計画だった。

 でもおまえに見つかってパーよ。

 親父、機嫌最悪だし…」

        
気持ちはわかります。

夫は父親と姉を排除して、自分で会社を切り盛りしたいのです。

そうすれば怒られることもないし

意地悪な姉に陥れられることもなくなるからです。

任せてほしければ一人前になればいいことです。

しかしその気持ちはさらさら無く、ただ無い物ねだりを続けていました。


私が会社に絡むことは、最初から絶対的タブーでした。

娘の立ち位置を生涯確保したいのか

義父が私を嫌っているからか、とにかく嫁の私はダメなのです。


電話番が必要になると、わざわざ私に秘密にして

いつの間にか義母の妹を雇っていました。

前のM子の時も、二人で組んで会社をやるのが最終目的でしたから

夫は今度も同じことを考えたようでした。

つまり私はお邪魔なわけです。


         しかしお邪魔虫にも五分の魂…


そこまで嫌われて

いらないから取り替えると言われても、おめおめとは引き下がれません。

意地ってもんがあります。

撤退するなら自分の納得いく形にしたいわけです。


義父とI子の複雑な経緯がわかり、なんとなくスッキリしました。

自分の女だと思い込んでウキウキ入社させたら、息子の彼女だったのです。

さぞショックだったことでしょう。

わかった時のI子への仕打ちの理由もうなづけます。


夫は確かに父親を怖れていますが

それだけに父親の心理を確実に把握しています。

事実がバレたところで、かっこ悪いから絶対にそれに触れることはない…

と予測しました。

だから義父は、憎い嫁に問い詰められても

すぐには返事ができなかったわけです。

              ぷぷぷ…


一方I子のほうは

塩のきいてない夫に目をつけて

最初から狙いを定めていた…私はそう考えていました。


しかし夫が力説するには、I子の亡夫は不動産業で

関東地区にいくつかマンションを遺してくれたので

生活には困らないと言うのです。


      「じゃあ、関東にいればいいじゃん。

       こっちで人に迷惑かけて歩かなくてもさ」

「母親がこっちの人だから、仕方なくじゃないの?」


でも、今でもマンション管理の用事や

松田○子に頼まれてヘアメイクをしに東京へ行くことがある…。

○子はI子が大のお気に入りらしい…。


腹を抱えて笑う私を夫はぽかんとながめていました。


       「荷物まとめてあげよう」

「金は?」

       「今あるわけないじゃないの」


コンビニ銀行なんて無い時代です。

今だと、こうはいきません。 


     「私もそこまでお人好しじゃない。

      女が原因で家出する旦那に、はいそうですかと大金渡せないよ。

      女と無関係だと証明してくれないと」


「くれると言ったから、全部話したんじゃないか!」


    「だだこねても、夜だから銀行閉まってるじゃん。

     いい?あなたはまず家を出て

     どこでも自分の好きな所に行くのよ。

     そこですぐ口座を開いて私に連絡する。

     こっちでI子が一緒じゃないと確認したら、そこへお金を送るわ」

 
「本当だな?」


      「私も虎の子を出すんだから

       あなたも決意を見せてくれないと…

       それに…もしもI子さんにそそのかされた家出なら

       お金を持たずに出て来たあなたをどう扱うか試せるでしょ?」


「そんな女じゃないよ。おまえは誤解してる。

 I子とは関係ない」


       「だからその証明が条件だと言ってるじゃないの。

        ささ、お旅立ち!」
 
コメント (2)
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弁当の恨み

2008年10月29日 11時04分49秒 | 不倫…戦いの記録
  「今朝たまたま弁当を持って行かなかったら
     
   私はずっと知らないままだったんですよね!」 

「…」


  「同じ家に住んで、みんな知ってたんですよね!」

「…」 


  「わかりました。こんな所にはいられません。

   最後にお願いします。

   なぜこんな残酷なことをするのか

   後学のために教えていただけませんか?」



長い沈黙の後   


「…おまえが…ブスだからだっ!」




           「それかっ!」  

     


義母の涙ながらの取りなしもあり

結局あのおネエちゃんには辞めてもらい

私はとりあえずその経過を見るということになりました。

帰って来た夫との激しい口論は言うまでもありません。



父親と顔を突き合わせての昼食がつらいと言うので

ずっと弁当を作っていました。

義父は食事どきになると

食べている間中、夫に小言を言い続けるのです。

仕事のこと、立ち居振る舞い、生活態度…

小言のネタは何でもいいのです。

人のことは決して言えない人間が、探してまで言うことですから

道を歩いていて肩が当たった…と因縁をつけるのと同じです。


毎回、咳払いをしたら始まる合図です。

取るに足らないつまらぬ問題を指摘し

そのうち一人で盛り上がって怒鳴り始め

夫が食卓から立つまで続きます。

それはあきらかな弱い者イジメでした。


私が止めると今度は義母に当たるので

それだけはやめてくれ、気が済めば静かになるのだから…

と義母に頼まれており

夫もまた、自分が我慢すれば平和だから…と自覚していました。


せめて一食だけは安心して食べたいと言うので

産後も退院の翌日から作っていましたが

彼女が入社したあたりから、タッパーのふちに

ぐるりと無数の傷が付くようになりました。

その頃から、家の犬が夕飯を残すようになっていました。


あれは彼女と外食をして

弁当は帰った時にこっそり庭の犬に食べさせていたのだと知りました。

今さら何を言っても無駄とわかっていますが

弁当作りが大嫌いな私にとっては大問題でした。

いらないと、ひとこと言ってくれればよいのです。

どうにも気持ちが収まりませんでした。


義父の彼女に対する仕打ちは残酷でした。

翌日から仕事らしい仕事はさせず…

といっても初心者ですから

元々たいした仕事はできなかったのですが…

真夏の太陽の下で、屋内に入ることを許さず

毎日倉庫の片付けや草むしり

仕事場のまわりの道路掃除、ミゾ掃除などを言いつけました。


義父の申告ですから

どこまでが本当かわかりませんが

一週間後、彼女は出勤しませんでした。


しかし、その仕打ちに彼女は着火したのです。

彼女が辞めた翌日

「まとまった金を用意してくれないか…」

夫が言いました。


「家を出る…」

        「あぁ、いいことだね…」


「どこかよそで、一からやり直してみようと思う」

        「彼女と?」

「あいつはきっかけに過ぎない。

 家族も仕事も…もう何もかも嫌なんだ。

 一人でやってみたい」


      「一回やってみたらいいよ。

            いくらいるの?」
 
「3百万くらい…」

           誰が渡すか…


      「そんなに出せないよ…。

       アパート借りて、当面の生活費とで

       百万くらいでいいんじゃないの?」


「ん~…それでもいい…」


そのかわり…と

これまでのいきさつをすべて話すように言いました。

コメント (4)
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