日中首脳が会談へ 前提として合意文書発表 異例の対応
朝日新聞デジタル 11月7日(金)19時46分配信
朝日新聞デジタル 11月7日(金)19時46分配信
安倍晋三首相と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)開催中の北京で首脳会談を行う見通しとなった。日中両政府は7日、会談の前提となる「日中関係の改善に向けた話し合いについて」と題する合意文書を発表した。歴史認識問題で「双方は、歴史を直視」することや、尖閣諸島(沖縄県石垣市)など東シナ海の海域での「緊張状態」について「双方は、異なる見解を有していると認識」などとする4項目からなる。会談前にこうした文書が発表されるのは異例だ。
安倍首相は7日夜、BSフジの番組に出演し、「(首脳会談の)条件整備を進めていく中で4項目を合意することができた。この上に立って首脳会談がAPECで行われるように最終的な調整を進めているところだ」と語った。
APEC外相会議で北京入りしている岸田文雄外相も7日夜、記者団に「開催を視野に入れて具体的な調整をしている」と述べた。安倍首相は9日に北京に到着し、12日まで滞在する。日中首脳会談が実現すれば、2012年5月以来約2年半ぶりで、第2次安倍内閣では初となる。
合意した内容は、
(1)日中の戦略的互恵関係を発展させていく
(2)歴史を直視し、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた
(3)尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する
(4)政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努める――の4項目。
中国側は首脳会談開催の条件として、尖閣諸島をめぐり領有権問題が存在すると認めた上で「棚上げ」することと、安倍首相が靖国神社に参拝しないと確約することの2点を求めていた。一方、日本側は「会談に前提条件はつけない」との立場で、2点については「譲歩」は受け入れられないとの姿勢は堅持しつつ、中国側と折り合える文言を調整した。
文書では、中国側が領有権の存在にこだわってきた「尖閣」を明記し、両国間に「異なる見解」があるとする一方、歴史について靖国参拝には一言も触れなかった。日本外務省幹部は「異なる見解」について、「『緊張状態が生じている』にかかっている」とし、尖閣の領有権をめぐるものではないと説明。「日本の立場が後退したとか損なわれたとかは一切ない」と強調した。
中日両国が関係処理・改善に向けた四つの原則的共通認識達成
人民網日本語版 2014年11月07日18:02
人民網日本語版 2014年11月07日18:02
楊潔チ国務委員は7日、釣魚台国賓館で訪中している谷内正太郎国家安全保障局長と会談した。
楊国務委員は、「健全かつ安定した中日関係を長期的に発展させることは、両国ならびに両国民の根本的利益に合致するものであり、中国側は中日間の四つの政治文書を基に、『歴史を鑑み未来に向かう』精神で中日関係を発展させることを一貫して主張してきた。周知の原因で中日関係は厳しい局面が続いているが、ここ数ヶ月、中日間の政治的障害を克服すべく、双方は外交ルートを通じて協議を重ねてきた。その中で中国側は厳正たる立場を重ねて表明し、日本側に歴史問題や釣魚島(日本名:尖閣諸島)問題といった重大かつ敏感な問題に対し正しい認識をもち、適切に処理するよう求め、両国関係の改善と発展の上に共に尽力してきた」と述べた。
これに対して谷内局長は、「日本側は日中戦略的互恵関係を極めて重視しており、大局的見地から、中国側と対話と協議を通じて、共通認識と相互信頼を増進させ、隔たりと敏感な問題を適切に処理し、日中関係改善のプロセスを推し進めたい」と述べた。
両国は中日関係の問題処理と改善に向け、四つの原則的共通認識に達した。
楊国務委員は、双方はこの原則的共通認識の精神で中日関係の政治的基盤を確実に維持し、両国関係の正しい発展の方向性を把握し、速やかに敏感問題を適切に処理し、実際の行動をもって中日間の政治相互信頼を構築し、両国関係を良好な発展の軌道に押し上げなければならないと強調した。
谷内局長は、四つの共通認識は非常に重要で、日本側は中国側と向き合っていきたいと述べた。(編集IM)
「人民網日本語版」2014年11月7日