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金委員長の初の対米発言は「米国が○○すれば、○○する」という条件節の形になる可能性が高いと、北朝鮮事情に詳しい高官たちは見ている。

2021-01-06 | 朝米会談の成功のために
金正恩委員長がバイデン次期大統領の就任前に送るメッセージとは
登録:2021-01-05 05:42 修正:2021-01-05 06:44


1月初旬の党大会で青写真 
3月、韓米演習を実施するかどうかがバロメーターに 
中国との貿易すら途絶えて「人民生活苦」 
「先韓後米」で韓国と先に手を取り合うか

      
左から韓国の文在寅大統領、北朝鮮の金正恩国務委員長、米国のジョー・バイデン次期大統領、中国の習近平国家主席//ハンギョレ新聞社

 「金正恩(キム・ジョンウン)政権第2期」の青写真を示す朝鮮労働党第8回大会は米国のジョー・バイデン次期大統領の就任(1月20日)より先に開かれる。金正恩労働党委員長は党大会で国内、対韓国、対外政策を含む「新たな闘争段階の戦略的課題」を明らかにする「事業総和報告」を行う予定だ。金委員長がバイデン次期大統領より先に“語る”わけだ。

 金委員長はバイデン次期大統領の就任あいさつに応える“舞台”もあらかじめ用意しておいた。1月下旬に召集が予告された最高人民会議14期4次会議がその舞台だ。同会議で施政方針演説を行うかどうかは、金委員長に委ねられている。

 北朝鮮は米大統領選挙期間中には沈黙を守っていた。バイデン氏の当選が公式発表された後も発言を控えた。このような長い沈黙は、結果的に党大会での金委員長の演説に対する注目度を高めた。

 注目が集まる金委員長の初の対米発言は「米国が○○すれば、○○する」という条件節の形になる可能性が高いと、北朝鮮事情に詳しい高官たちは見ている。金委員長の実妹で最側近のキム・ヨジョン労働党中央委第1副部長は早くから、「米国とはすぐに向かい合う必要はなく、米国の重大な態度変化を見てから決心してもいい問題だ」(2020年7月10日の談話)と述べてきた。慶南大学極東問題研究所は、金委員長が「両面対米戦略」を進めるだろうと見通した。

 2021年を迎える金委員長はかなり追い込まれている。深刻な危機に直面した“経済状況”のためだ。長期にわたる米国と国連の強力な制裁に対抗し、「農業(主打撃前方)」を前面に押し出した「経済(基本戦線)」中心の「正面突破戦」で「制裁耐久力」を誇示しようとした金委員長の戦略方針(2019年12月28~31日、労働党中央委第7期第5回全員会議)が、2020年に予想だにしなかった新型コロナウイルスの世界的大流行と夏季の洪水被害で決定的な打撃を受けた。

 特に、まだ終わりの見えないコロナ禍が致命的だ。2020年1月末以降、長期国境閉鎖で朝中貿易がほぼゼロになっている。対外貿易の98%を占め、「北朝鮮経済の外部生命線」と呼ばれる朝中貿易が事実上途絶えたわけだ。強力な制裁にも関わらず、安定していたコメ価格や為替相場の変動幅が2020年夏以降大きくなっている。

 北朝鮮経済専門家のヤン・ムンス北韓大学院大学教授は、2012年に金委員長が政権について以来北朝鮮経済の3大成長軸の役割を果たしてきた「市場化の進展→朝中貿易の拡大→国営製造業部門の回復」の好循環構造が、新型コロナと制裁、水害の“三重苦”のため「作動不能になった」と分析した。ヤン教授はこうした事情のため、「2020年の北朝鮮経済の後退が1990年以降(苦難の行軍期を含めて)最も大幅なマイナス成長を記録した1992年(-7.1%)に近づくか、それを上回る可能性も排除できない」と指摘した。

 金委員長は党大会招集決定書で「経済の長成(成長・発展)目標(の達成)がひどく不十分で、人民生活が向上していない結果」を挙げて経済状況の悪化を認め、「党第8回大会で新しい国家経済発展5カ年計画を提示する」と予告した。2020年10月10日、労働党創建75周年記念軍事パレードでの演説では「革命武力があるから、いかなる侵略勢力も我々を狙うことはできない。残された課題は人民が豊かで文明な生活を送れるようにすること」だとし、「復興繁栄の理想社会(の実現)を最大に早める」と誓った。

 金委員長が言及した「復興繁栄」は経済の飛躍的な成長と発展なしには成し遂げられない。そのためには2018年9月29日にリ・ヨンホ外相が国連総会の演説で明らかにしたように「平和的環境が必要」だ。金委員長が2021年に韓米両国と軍事的対峙より外交と交渉を好む可能性が比較的高いという見通しが多いのも、そのような背景からだ。

 そうした意味で3月に予定された韓米合同軍事演習を実施するかどうかは、2021年上半期の朝鮮半島情勢のバロメーターとなる。韓米合同軍事演習の中止は、北朝鮮が核・ミサイル実験の中止と交換品目として強調してきた「双中断」の二大軸だ。バイデン大統領が就任してすぐに北朝鮮に前向きなシグナルを発信し、韓米が軍事演習を取り消すか大幅に縮小するなら、金委員長がこれに“応える”可能性がある。そうなれば、2019年2月のハノイ朝米首脳会談後、泥沼に陥った朝鮮半島平和プロセスが再稼動する可能性がある。さらに新型コロナウイルスが沈静化し、東京夏季五輪が開催されれば、2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪のように「五輪首脳外交」に弾みがつくかもしれない。一方、バイデン政権が内政に没頭して、北朝鮮に冷淡な態度を示し、韓米軍事演習も強行されれば、金委員長は軍事的な力を誇示して形勢を揺さぶり、政策の優先順位を引き上げようとする可能性がある。

 ただ、金委員長が国境閉鎖の解除に必要な新型コロナワクチンや治療薬などの保健協力、経済危機緩和などを念頭に置き、韓国と先に手を取り合う「先韓後米」のアプローチを取ることも考えられる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が政権5年目を迎えるが、政権与党の共に民主党が圧倒的多数党であり、対北朝鮮政策の執行力を担保できるという点は、金委員長にとって魅力的な要素であるかもしれない。金委員長は軍事パレードでの演説で「一日も早くこの保健危機が克服され、北と南が再び両手を取り合う日が来ることを祈る」と述べた。
イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)


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