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被爆地出身の外務大臣として,大変残念に思っております。「核兵器のない世界」に向けて,努力を

2015-05-25 | 外務省からの直接メール
岸田外務大臣会見記録


(平成27年5月23日(土曜日)16時20分 於:広島市)


冒頭発言―2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の終了

【岸田外務大臣】
ニューヨーク時間22日,NPT運用検討会議は,コンセンサス成立直前まで到達いたしましたが,最終文書があと一歩で採択されなかったことは,唯一の戦争被爆国として,そして被爆地出身の外務大臣として,大変残念に思っております。

 我が国は,「核兵器のない世界」の実現のため,核兵器国と非核兵器国の協力の下,現実的かつ実践的な取組を進めるべきであるという立場で尽力をしてきました。今次運用検討会議に向けて,NPDIの枠組みの下,18本の作業文書,そしてこれらをとりまとめた文書を提出し,関係国に働きかけを続けてきました。会議には私自身も出席させていただきましたし,会議の終盤には杉山外務審議官,次官級の要員を派遣いたしました。

 そして,議長がまとめた最終文書案ですが,この最終文書案は,ただ一つの例外を除いて,コンセンサスが得られておりました。中東問題という例外を除いて,他はコンセンサスが得られておりました。そしてこのコンセンサスが得られていた部分においては,我が国が重視する5項目についても概ね盛り込まれておりました。特に,広島・長崎,こうした被爆地の訪問については,コンセンサス合意でありますので,我が国提案のとおりには表現上なりませんでしたが,少なくとも我が国の意図が明らかとなる形で盛り込まれました。NPTの歴史において,今までこの被爆地訪問という文言は未だかつて一度も入ったことはありません。しかし,こうした趣旨が今回最終文書案に盛り込まれたということは,NPTの歴史上初めてのことであり,この点では前進であったと受け止めています。

 重ねて申し上げますが,被爆70年の節目の年に開催された今次会議において,最終文書の合意に至らなかったことは大変残念であります。こうした結果が,「核兵器のない世界」に向けた取組に悪影響が出ないよう,NPDIメンバー各国とも協力しながら,引き続き努力していかなければなりません。

 今後,8月には,広島においてCTBT賢人会議,あるいは国連軍縮会議が開催されます。また,9月においては,ニューヨークにおきまして,CTBT発効促進会議が開催されますが,我が国は議長国を務めなければなりません。日本の外相がこのCTBT発効促進会議の議長を務めることになっています。また,11月には長崎でパグウォッシュ会議が開催されます。こうした機会をとらえて,ぜひ「核兵器のない世界」に向けて,努力を続けていくべきであると考えています。

質疑応答

【NHK 栗原記者】
今回,NPT会議の全体としては,アメリカ,イギリスなど核兵器保有国を中心に,中東の関係で反発があって,それでまとまらなかったという経緯がありますけれども,今後,国際社会全体として核廃絶に向けて,各国がどのような努力なりをしていくべきだとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】
ご指摘のように,今回,中東の非大量破壊兵器地帯設置構想,これに関しまして関係国の同意が得られなかった,このことによって,最終合意文書のコンセンサス合意に至らなかったと承知をしております。この議論についても,引き続き,これは議論をしていかなくてはなりません。ぜひ議論を深めるべく,引き続き努力をしていかなければならないと思いますし,これ以外の課題については,参加国のコンセンサスが得られておりました。最終合意文書案は理解を得ていたわけですので,こうした議論の積み重ねを引き続き今後の議論につなげていかなければなりません。さきほど申し上げましたさまざまなこの会議,議論の場が,被爆70年の今年,予定されています。これらの会議において,またしっかりと議論を深め,そして,具体的な結果につなげられるよう努力することが大事だと思っています。

【NHK 栗原記者】
やはり被爆地出身の外務大臣ということで,今回,5項目のうちの1つに広島・長崎への政治指導者や若者の訪問を呼びかける提案をされたのですけれども,今後,NPTでは盛り込めなかった文言ですけれども,今後,世界各国との外相クラスの方々や世界の政治リーダーとの対話の中で,そういったことをどのように呼びかけていきたい考えでしょうか。

【岸田外務大臣】
今回の議論の中で,最終的にコンセンサス合意に至らなかったものの,最終合意文書案の中に,我が国が提案した5つの項目を概ね盛り込むことができたことは,議論として前進であったと思っています。そして,その中の1つの世界の政治指導者の被爆地訪問の課題ですが,最終文書案には,各国の指導者を含むより多くの人が被爆者や被爆地とやりとりをし,その経験を直接共有することによって,核兵器の非人道的影響への認識を高めて核軍縮の推進に資するべきである,こういった趣旨を盛り込むことができました。こうした被爆地の訪問については,今までNPTの文書にそういった概要が盛り込まれたことはまったくありません。その中で,今回,今申し上げました内容を盛り込むことができたことは,一歩前進だったと思っています。ぜひ,今後の議論の中で,こうした被爆地を世界の指導者に訪問してもらう,被爆の実相に触れることによって,国際的な「核兵器のない世界」へ向けて努力をするという機運を高めていくことに資することになる,こういった思いは,ぜひこれからもしっかりと訴えていきたいと思っています。

【NHK 栗原記者】
大臣ご自身,個人的にもいろいろな外交交渉の中で,そういった思いを訴えていきたいというお考えですか。

【岸田外務大臣】
そうですね。たとえば,昨年4月のNPDI広島外相会合においても,成果文書の中にこうした被爆の実相に触れる,被爆地を世界の政治指導者に訪問してもらう,こういった文章,内容は明記いたしました。引き続き,我が国としては,NPDIの枠組みは重視していかなければならないと思いますし,こうした非核兵器国の協力は重視していかなければなりません。ぜひ,こうした枠組み等を通じまして,しっかりと発信をしていきたいと思います。

【中国新聞 岡田記者】
決裂の背景は,中東問題が最終的になったとはいえ,会議を通じて,非保有国と保有国との間で,非人道性あるいは非合法化をめぐる議論についてかなり溝があることが明らかになりましたが,その辺これからどう埋めていくのか,あるいは非合法化の議論をNPTの枠外でやる必要があるのではないかということも当然でてくるのではないかと思いますが,それについてはどうお考えですか。

【岸田外務大臣】
たとえば,非合法の議論についても,文章を見ますと,最終文書案には,「核兵器のない世界」の達成のための法的条文等を議論するための作業部会を設置することを勧告する,これが明記されております。この法的条文の中には,核兵器禁止条約が含まれております。ぜひ,こうした取組は,しっかりと議論を深めていかなければならないと思いますが,いずれにしましても,今回改めて感じましたのは,「核兵器のない世界」に向けて,議論を深め,そして結果を出すためには,核兵器国と非核兵器国は協力しなければならない,このことの大切さを改めて感じました。それぞれが自分たちの立場を言っているだけでは結果につながらないということです。ぜひ,核兵器国と非核兵器国が協力することによって,具体的な結果につながる,こういった努力,議論を深めていかなければならないと思います。日本としては,この両者の協力のために,現実的そして実践的な取組を重視するべきだ,こういった主張をしてきたわけですが,ぜひこうした取組を通じて,核兵器国と非核兵器国の協力を実現したいと改めて強く思います。

【中国新聞 岡田記者】
その作業部会ですけれども,最終文書案では次の9月からの国連総会の下でというふうに書いてありましたけれども,それは,たとえばNPTの文書案では最終的に合意できませんでしたが,たとえば日本単独でそういうことを提案するということはお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】
具体的には,まだ,NPT運用検討会議が終わったばかりですので,具体的なものはまだ頭にはありません。しかし,最終文書の取り扱いは,今申し上げたようなことになっています。こうした議論が行われたことを踏まえて,今後の議論を考えていくべきだと思います。

【記者】
全体の総括としてなんですけれども,核兵器廃絶に向けた動きが前進したという認識があるのか,それとも,合意にならなかった点をとらえて後退あるいは停滞したとの認識があるのか,どちらの認識でしょうか。

【岸田外務大臣】
今回の4週間にわたっての議論は,参加国が真剣に「核兵器のない世界」について,議論をするという意味においては,これは意義はあったと思っています。しかし,今の前進したのか停滞したのかいうことですが,これは,物差し,どこを基準にして言うのか,なかなか評価するのは難しいと思いますが,少なくともこれが今後のさまざまな「核兵器のない世界」に向けての議論に資するように,少なくとも,最終成果文書が合意に至らなかったことが悪影響を及ぼさないように,これは我々は引き続き努力をしなければならないと思います。今後,今年予定されているさまざまな会議,機会を通じて,さらなる議論を深めていく,そういったことによって成果につながるかどうかが大事だと思っています。


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