野中広務元官房長官が発言、日朝国交正常化をめざす「全国集会」
「今こそ真の信頼関係を」
平壌宣言10周年「日朝国交正常化をめざす全国集会」(13日)の来賓としてあいさつに立った野中広務元官房長官は、平壌宣言発表後の10年をふり返ると共
に、「日朝平壌宣言は『立派だ』と言われているが、一体日本は朝鮮と何を約束してきたのか、中身がまったくわからなくなっている」とし、国交正常化の早
期実現をうたった宣言が履行されていない状況を批判した。
また平壌宣言発表後、昨年まで中国で朝鮮側の関係者と会い、国交正常化をめざす取り組みを個人的に続けてきたことを明かしながら、「今の日本の政治家
は、日本人がいかに平和に生きていくべきかを真剣に考えて論じるべきだ」と述べ、政治家が大局的な視点に立ち不退転の覚悟で日朝問題に取り組むよう訴え
た。
一方、尖閣諸島の問題をめぐり日中関係が悪化していることを受け、このたび中国で開かれる日中国交正常化40周年記念集会に招かれていた、自身を含む30
余人の政治家の訪中が、中国側の要請によって急きょ中止になったことにも言及。日本は近隣の国となぜこのような関係に陥ったのかを考えなければならない
と話した。
また、自衛隊をPKO(国連平和維持活動)に派遣するなど軍事的拡張を図ろうとする昨今の日本に警鐘を鳴らし、さらなる後退を食い止めるためには世論の
力が必要だと訴えた。
そして最近の日本人遺骨問題の前進をきっかけに、日朝両国が互いに信頼関係を築き、双方の過去の傷を埋め合わせていくことが、これからの日本人が進むべ
き道だと説いた。
一方、金丸・田辺訪朝団随行をはじめ9回に及ぶ自身の訪朝体験について、特に金日成主席が金丸・田辺訪朝団を招いた宴会で、訪朝団や記者など一人ひと
りと杯を取り交わしてくれた出来事などが忘れられないと回想しながら、最近の朝鮮の変化についても言及。4月に訪朝した金丸元副総裁の秘書で子息の金丸
信吾さんから「朝鮮の国民はみな嬉々として働き、活力に満ちている、平壌の街なかでは自動車が渋滞しているし、地方都市にも新しいマンションが建てられ
ている」などという話を聞いて、「新しい朝鮮のスタート」を感じたと述べた。
そして、「今こそわれわれは朝鮮としっかりと手を握り、韓国、中国といったアジアの国々とも海を挟んだ一衣帯水の国として、真の信頼関係を結ぶための努
力を傾けるべきだ」と強調した。