厳然たる差別実態を提示/人種差別撤廃デー記念集会
3月21日の国際人種差別撤廃デーに際し17日、記念集会「Stopレイシズム Stopヘイトスピーチ 人種差別をなくす基本法の制定を!」(主催=人種差別撤廃NGOネットワーク、ERDネット)が参院議員会館で行われた。国連人種差別撤廃条約に日本が加入して20年以上が経つが、人種差別を禁止する基本法の制定は遅々として進んでいない。民族差別やヘイトスピーチが横行する深刻な状況のなか、集会では民族的マイノリティの被害実態や意識調査の結果などを示し、日本における人種差別の状況を共有した。
プラカードを掲げて差別反対を訴えた
プラカードを掲げて差別反対を訴えた
集会では関西学院大学の金明秀教授が、研究者・弁護士・NGOから成る「人種差別実態調査研究会」による人種差別関連判例、地方自治体や民間団体による外国籍者に対する差別実態の調査・分析を踏まえ、人種差別の実態について発表した。調査結果で明らかになった日本における民族的マイノリティの権利剥奪の状況を踏まえ、より精緻な被害実態調査と被害救済、差別撤廃のための法規制の必要性を説いた。
続いて、全国の朝鮮学校をはじめとする民族学校の高校生約1400人を対象に行なったヘイトスピーチに関するアンケート調査の結果と分析について、ジャーナリストの中村一成氏が報告した。中村氏は、調査結果に現れた被害実態、意識調査に基いて、集団別に見られる特徴や回答者の内面への考察を詳細に展開した。
また集会では、被差別、アイヌ民族、琉球民族、移住者、イスラム教徒など、多様な民族的マイノリティが自らの体験を語り、参加者らは当事者らの被害に耳を傾けた。
在日朝鮮人学生を代表して発言した20歳の女子学生は、朝鮮学校に対する「高校無償化」除外問題の不当性を指摘したうえで、自身の被害体験について語った。小学校の頃は心ない日本人に「臭い」「国に帰れ」と言われ、大学では学友らから「朝鮮植民地支配はねつ造」「朝鮮学校に対するヘイトデモは当然」などと言われたと告白し、「日本社会が生み出したこのような民族差別の現象をなくしていきたい。ルーツや文化が違っても、在日コリアンにも平等に生きる権利があるという認識を持ってほしい。日本と朝鮮半島の間にある政治的問題も、在日コリアンが責められる問題ではない。日本社会が変わっていくべきだ」と訴えた。
最後に、参加者が「ともに生きよう」「レイシズムはいらない」などのプラカードを掲げて差別反対の意思を示した。
朝鮮新報(金淑美)