核兵器全面禁止の扉開こう
原水爆禁止2012年世界大会始まる 国際会議に外国政府代表も
原水爆禁止2012年世界大会の国際会議が2日、広島市で始まりました。今年の世界大会は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める声が世界中に広がり、日本国内では原発事故を契機に、原発ゼロ・再稼働ノーの空前のたたかいが高揚するなかでの開催です。国際会議では、世界の反核・平和運動の代表とともに政府代表も加わり、運動を交流・発展させるために議論しました。3日間の予定で初日は220人が参加しました。全日程で20カ国から64人の海外代表が参加する予定です。
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(写真)開会した原水爆禁止2012年世界大会国際会議=2日、広島市中区
今年の大会テーマは「核兵器のない平和で公正な世界のために」。開会総会では日本原水協の沢田昭二代表理事が、「核兵器全面禁止の入り口の扉を開く決定的に重要な時期の開催だ」と主催者あいさつ。日本被団協の藤森俊希(としき)事務局次長が、爆心地から2・3キロで被爆した経験をまじえ、「世界のみなさんと手を携え『自らを救い、人類の危機を救う』運動に力をつくす」と訴えました。
日本共産党の緒方靖夫副委員長も発言(要旨)。マレーシア、アラブ連盟の政府代表もそれぞれ、核兵器のない世界の実現をと訴え、「私たちの子どもたちが核兵器のない世界で暮らせる日が来るよう希望する」と述べました。
第1セッションでは「核兵器のない世界の実現、核兵器禁止条約の交渉開始、世論と運動の前進を」のテーマで討論。7人の導入発言者による各国での活動紹介や核兵器をめぐる情勢報告のあと、会場参加者から積極的な発言が相次ぎました。
日本原水協の安井正和事務局長は、「人類の生存のために、いま行動を」と強調。世界中で平和と民主主義、格差と貧困の打破などを求める人々の勇気ある行動と選択が変化をつくっていると評価し、「核兵器のない世界の扉を開くために、新たな飛躍をつくりましょう」と訴えました。
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アンジェラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表は6日、世界大会に出席し、潘基文(パンギムン)国連事務総長のメッセージを代読する予定です。
世界大会には、マレーシアのナジブ・ラザク首相、メキシコのフェリーペ・カルデロン大統領、ニュージーランドのマレー・マカリー外務大臣、ベトナムのウォン・チュー・ルー国会副議長(ベトナム平和委員会会長)からメッセージが寄せられました。
原水爆禁止世界大会 国際会議2日目
放射能被害とたたかう
放射能被害とたたかう
2日目を迎えた原水爆禁止世界大会の国際会議は3日、全体総会や分科会で熱心な討論をおこないました。核兵器全面禁止条約締結の重要性が強調されるとともに、被爆の実相を語り広げる活動をはじめ、核実験や原発による放射能被害とたたかう世界の運動が交流されました。
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(写真)討論が続く原水爆禁止2012年世界大会国際会議=3日、広島市中区
全国労働組合総連合の五十嵐建一青年部書記長は、「広範な国民の中に広がっている原発ノーの運動と一体に、国民と労働者の連帯のかなめとして今後も(核兵器廃絶を求める)運動をすすめたい」と力を込めました。
原爆症認定集団訴訟・全国弁護団連絡会事務局長の宮原哲朗弁護士は、核兵器が持つ「過剰殺りく」と「継続的な緩慢な殺人」という二つの残虐性をあげ、「核兵器の残虐性の隠ぺいや被害の過小評価は、加害行為を繰り返そうとする考えの裏返しだ」と語りました。
日本被団協の児玉三智子事務局次長は、昨年の東日本大震災は、当時7歳で遭遇した広島原爆の惨禍をよみがえらせたと話しました。生々しい被爆体験の証言に会場が静まりかえり、「2015年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に大きな成果が得られるよう、被爆の実相を語り続けます」と表明すると、大きな拍手が沸き起こりました。
核兵器製造にともなう放射性廃棄物による汚染とたたかうロシアの反核運動、核実験で被ばくし、英国に補償を求めているフィジーの復員兵士の会、核実験による放射能で汚染された島への帰還を拒み、たたかいを続けるマーシャル諸島の住民組織などの代表が次々と発言し、体験や活動を紹介しました。