色んな物事が、まるで激流に弄ばれるかのごとく
過ぎ去っては消えてゆく今日この頃。
お変わりなく生息なさってらっしゃいましょうか。
ゆめゆめ「衰退」などなされないように。
私・・・?私などの事はどうでもよいようなものながらも申し上げると、
治ったはずの風邪の残存勢力に悩まされつつ、
夜は眠り、昼は駆けずり回る、といった有様です。(それ普通じゃんかよ。)
根拠はないのではありますが、12月に入ると何もかもが一変する予感がいたします。
そうなる前に私は精一杯糸を出して、自分の周りにありたっけの壁を構築し、
「さなぎ」のように丸まって眠るしか、手は無い所存で御座います。
ところで。
図書館で借りてきて読んだ「スプートニク」という
ソ連の宇宙開発のドキュメンタリー本の中に、
ソユーズ2号に搭乗していて、宇宙空間で行方不明になった宇宙飛行士、
イワン・イストチニコフが見た悪夢の話が載っていて、興味深かったので
引用する。
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戦士が、激しく息をつきながらあえぎあえぎ、こういった。
「とてもあんたたちには信じてもらえないようなものを見たのだ。
オリオン座よりもむこうで、炎に包まれた船団を攻撃する。
タンホイザー門の近くの暗がりで、D光線が眩く輝くのを、おれは見た。
こうしたすべての瞬間は、雨が流されるように、時の中に失われてゆく。
もう死ぬときがやってきた。」
筑摩書房「スプートニク」著・スプートニク協会+ジョアン・フォンベルグ
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これって、どう見ても
映画「ブレード・ランナー」でレプリカントのロイ・バティが
最後の最後に語る台詞、そのものだ。
その宇宙飛行士が映画見てたんだろうっていう可能性は、ない。
彼が行方不明になった最後の飛行は1968年10月であるからして。
映画の前述の台詞って、ロイ・バティ役のルドガー・ハウアーが
撮影中に思いついて採用された、って話を何かで見たことがある。
ルドガー・ハウアーがこのソ連の宇宙飛行士の日記を何かで見て知ってたのだろうか。
ソ連ってああゆう国だからその可能性は低いような気もする。
特に映画制作時はまだ冷戦下だったはず。
むむむ・・・どういう経緯かは、わからないのだけれど、
本物の宇宙飛行士が見た悪夢のモノローグが挿入されることで
映画に、より深みが与えられたのは間違いないよね。
それにしてもそれにしても。
宇宙空間でミッション中に行方不明になる、ってミステリアスすぎる。
しかも「ソユーズ2号」は発見されているのだ。
唯一の乗組員(と、犬)だけ、いなかったらしい。
どんな状況で、果たしてどんな気分だっただろうか、とつい、
想像してしまうよ。