「喰えないオッサン」考

2023-03-17 21:37:47 | Weblog

だいぶ以前、

まだアメリカに住んでいた頃の村上春樹のエッセイで、

「アメリカのAMラジオのパーソナリティは何故

”喰えないオッサン"ばかりなのだろう?」

と言う内容の一篇があった。

 

それを読んで驚いたのは何を隠そう僕だった。

僕はAMラジオのヘヴィ・リスナーではないのだけれど、

でも思ってはいたのだ、

日本のAMラジオのパーソナリティも、”喰えないオッサン”が多い、

と言うか・・・そんなんばっかりだ、と。

 

”喰えない”というのはどういうことか???わかりやすく言うと

個性がきつい、他人の意見をあまり聞き入れない、

言いたいことをズバズバ言う、声がでかい、極端なことも言う、

批判を恐れない、

厚かましい傾向がある、良くも悪くも、ぶれない、

みたいな事か、と僕は思う。

へぇ、アメリカのAMラジオもそうなんだ・・・、と深く感心した。

 

でも、”喰えないオッサン”は、面白いのだ。

 

若い兄ちゃんでは、深みも説得力もない。

若い姉ちゃんでもそうだ。

子供さんでは、話にならない。

歳を喰ったお姉さん・・・も良いのだが、

女性はあまり、強い意見を言わない、という傾向は日本には確かにある。

だから、”喰えないオバサン”みたいなキャラは、存在しにくい。

(カミヌマエミコみたいなのはそんな感じなのかな?よく知らないんだが。)

 

オッサンはオッサンでも、優しい、腰の低い感じの人柄だと、

当たり障りのない感じになってしまう。

 

やはり、世界で一番面白いのは”喰えないオッサン”なのかもしれない。

逆に、世界で一番気に障る存在も、”喰えないオッサン”である。

 

 

言って見ればトム・ウェイツなど、”喰えないオッサン”感が少しある。

あの人も、近年はもうお爺さんだが。

他にいるかな・・・・あ、そうだ、ボブ・ディランなどは見事に一貫して

”喰えないオッサン”そのもの、である。この人も、もうお爺さんだ。

そうだ、U2の、ボノなんかも、近年は”喰えないオッサン”の資格があると思う。

関西のAMラジオで番組を持ったらいいのにボノが。

「U2ボノの、朝からすんまへん!」みたいな感じで。

”喰えないオッサン”達は自己主張も ある程度キツいのだ。

 

もしアナタが

”喰えないオッサン”ってどんな感じなのか?ともし思うなら

AMラジオをつけてみればいい。どこの放送局でもいい。

”喰えないオッサン”達が、まるで魑魅魍魎のように・・・・・いや、

まるで南蛮漬けにされた小アジのように、

ひしめいて、大声で自己主張してるから。

 

その光景は暑苦しくはあるが、まあ面白くもある。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・俺ですか?

俺はまだ修行が足らないので”喰えないオッサン”には、なれてません。

 

いつか、なりたいっす(嘘)。

 

 

 

 

追伸・

僕が一番好きだったamラジオの”喰えないオッサン”は、

20年くらい前に終了してしまった

mbsラジオの「諸口あきらのイヴニングレーダー」という番組の

諸口あきら  という人だった。

もう、亡くなってしまっているのだけれど、

一度くらい、お会いしたかったな。

 

この人は・・・諸口さんは、「リベラル」だったのだ。

僕が かの名著、辺見傭の「もの喰うひとびと」を知ったのは

この「諸口あきらのイヴニングレーダー」に、著者がゲストで出て

自著を語ったからだ。

辺見傭は、朝日のもと記者。バリバリの硬派なレフト。

 

 

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