僕は全然ブランド志向などではない。
高級ブランドなんて、嫌いだ。ヴィトンもエルメスもロレックスもファックオフだ。
でも、フェンダーのギターには否応なく憧れた。
ギブソンもだ。
中学生の時に親に頼み込んで、新品のエレキギターを手に入れた。
天にも昇る気持ちだった。本物のエレキギター。
でもいろいろ知るうちに気付く、
そのTOKAIというメーカーのSTタイプと呼ばれるモデルは、
アメリカの、フェンダーという会社のストラトキャスターというモデルの
完コピ(完全コピー)なのだった。
(でも1980年当時は、そのTOKAIがいちばんお洒落で先進的な国内メーカーだった。)
当時のTOKAIのパンフレットでは、いかに完璧なコピーか、という事を
誇らしげに謳っている。
(そしてそれは、ヴィンテージ偏重、という楽器界の世相につながっていく。)
僕は思った・・・・・・ふむ、これはコピー品なのか。
でも全然いいや。エレキギターはエレキギターなのだ。
それは間違いないし、これだって、はっきり言って高価だったのだ。
そして中学を出てついでに家も出て、高校を卒業して、デザイン学校をやめて、
自分で、バンドやりながらフリーターみたいにして働くようになってから、
超安時給(500円台だった)のなけなしの生活費の中からローンで、何本かギターを買った。
いや、何本かどころか・・・・ひどく安価なもの とか中古を含めたら
エレキ、アコースティック合わせて20本以上買ってると思う。・・・もっとか?
そして今、手元に残っているのは10本くらいだ。
売ったり、あげたり、壊したり、盗まれたり(マジで)した。何本かは、どさくさに紛れて消えている。
諸行無常である。
ところで
ふと気づいたのだが、フェンダーUSAのギターを僕は結局、手に入れていない。
ばるぼら でずっと使っていたギターはG&L というメーカーで、アメリカ製で、
それはあの天才・レオ・フェンダーが生涯最後に立ち上げたギターメーカーなので、
本家フェンダー(CBS売却以後の)よりもフェンダー直系なのだ。
でもフェンダーUSAではない。
今メインで使ってる、サイクロンⅡは、実はフェンダー・メキシコだ。
いや、フェンダーMEX は全然、いいのだ。値段も決して安くないし、モノもいい。
でも結局、俺は、一生涯、フェンダーUSAは手に入れなかったのだな…と思う
このあと、高価なギターを買う予定はないし、その気も、もう・・ない。
死ぬんならG&LスカイホークとMEXサイクロンⅡと心中する。
1977年製のレスポールジュニアも一緒に。
思い返せば若かったころ、一時は「オールド」に憧れたのだ。
フェンダーUSAの、オールド。
具体的に言えば、近所の楽器屋に展示してあった1967年製ジャガー。
レイク・プラシッド・ブルーのマッチングヘッド。
すっごく欲しかった。でも高額。ローン組んでもその値段を払いきる自信がなかったから
結局、買えなかった。三十万以上なんてアータ、楽器の値段じゃないわよ。
でも今考えたらあの時、買わなくてよかった。使ったら絶対壊してるもん俺、馬鹿だから。
この文章は結局、何が言いたかったのだろうか。
単に「ギター偏愛」ってことだろうか。
まあいいか。