ファッションの季節

2009-09-27 15:38:15 | Weblog
1987年くらいの話。

俺は大阪・アメリカ村の古着屋で働いていて、

ある日そこのオーナーが倉庫の奥で

ベルボトムのレザーパンツを発見した。


当時はリーバイス501を古着ではく、というのが

流行りはじめた頃で、

ブーツカットのジーンズやベルボトムジーンズや

パンタロン、要するにすその広がったズボンは

ものすごく古臭い、恥ずかしいもの・・という風潮だった。

俺もそう思っていた。


それで店でその発掘されたベルボトムを

試し履きして店員同士でギャハハと笑っているところに

佐治が遊びに来て

そのベルボトムを見て

「・・・アホか!オマエそれ、めっちゃカッコいいやんけ」と言った。



俺は自分が世間的な固定概念に縛られていたことに気付く。




そこから我々の「70年代ルック」の探求が

始まったのだ。


髪はとにかく伸ばし、身体にぴったりした古着のシャツ。

格安で売ってもらったそのレザー・ベルボトムか

神戸の高架下で苦労して探した

デッドストックのベルボトム・ジーンズ。

靴はウエスタン・ブーツ。

そして、パンクみたいな黒でなく、茶色の革ジャン。

フリンジのついたのもあったな。


今でこそ、また古びてしまったけど

1980年代~90年代初め頃には

その格好はすごく新鮮だった。

新鮮すぎて、よく道で他人に笑われた。

そんな格好の奴はどこにもいなかったから、

馬鹿みたいに目立った。

遠くからだが、よく指を指されていたのだ・・・

我々(佐治と俺)は。


70年代デッドストックの古着はカッコよかったし、安かった。

いいものは少なかったから、探す楽しみもあった。

佐治も俺も、当時は一人暮らしで

ロクなものを喰ってなかったから

体は本当にガリガリに痩せていて、

だからほとんどどんな服でも着ることが出来た。


今も楽しいんだけど、あの頃も楽しかったな。

我々の、ささやかながら華やかだった

「ファッションの季節」のこと。


時々、思い出してはシアワセになるのです。






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