まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大阪19番「枚岡神社」~神仏霊場巡拝の道・63(「枚」が「ひら」とは・・?)

2023年09月05日 | 神仏霊場巡拝の道

2023年の夏休みはこの5月に亡くなった父の初盆だった。事前に実家あてに寺からの盆供養の案内が来ており、家々の法要に回るのであらかじめ希望日を教えてほしいとのこと。大阪では数少ない高野山真言宗の新興寺院なのだが、葬儀で紹介されたのがきっかけで、いつしか檀家に組み込まれた模様である。8月11日~15日が私の休みということもあり、13日は混むだろうから12日をリクエスト。無事にお経を上げていただいた。

これまで「お盆」といえば夏休みで帰省したり、あるいは旅行に出かける時季として過ごしたが、今年「初盆」を通して(飾りつけは実家にお願いしたのだが)、本来の意味の「盂蘭盆」を過ごすことができた。

さて翌13日は1日フリーとなったので、1日出かけることにする。行くとすれば神仏霊場巡拝の道の続きである。前回のあみだくじで出たのが、生駒にある奈良16番・宝山寺。鶴橋から近鉄奈良線で向かうとして、改めて地図を見て、その途中にある大阪19番・枚岡神社にも立ち寄ることにする。

猛暑が続く中、台風の進路も気になる今年のお盆の時季。大阪環状線を鶴橋で乗り換え、近鉄奈良線に乗る。線路横にはこれから向かう「生駒聖天」の看板もある。

最寄りの枚岡には急行は停まらず、後続の大和西大寺行き区間準急に乗る。LCカーで、休日ダイヤということもありクロスシートでの運転。まずは大阪平野を突っ切り、生駒山麓に沿って少しずつ高度を上げる。

枚岡に到着。神社は駅のすぐ上にある。改札を出たところの地下道をくぐればすぐに正面の参道に出るのだが、この時は気づかず、いったん生駒側にあるいて踏切を渡る。ちょうど通過列車が行き交う。車道に建てられた大鳥居をくぐる。

枚岡神社が創建されたのは神武天皇が大和で即位する3年前と伝えられている。神武天皇東征の時、国土平定を願って天種子命(あめのたねこのみこと)に命じて天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売御神(ひめみかみ)を神津嶽に祀らせたのが始まりとされる。この天児屋根命は中臣氏の祖神とされている。中臣氏といえば後に中臣鎌足=藤原鎌足が出ており、天児屋根命は藤原氏の祖神でもある。後に藤原氏の氏神として春日大社が創建されるにあたり、天児屋根命、比売御神を勧請したことから「元春日」とも呼ばれる。

石段の下には、狛犬ならぬ「狛鹿」が安置されている。春日大社と同じく、鹿が神の使いとされていることから鹿も祀られており(本物の鹿はこの辺り出没するのかな?)、片方は手水場の守護として、そしてもう片方は「なで鹿」としてなでるとご利益があるとされる。

神社の名前である枚岡というのは、山麓の平坦なところの岡「ひとひらの岡」が由来という。それなら「平岡」となるところだが、大阪には枚方のように「枚」を「ひら」と読む地名がある。1枚、2枚の「枚」は薄く平らなものを数える際の言葉。「平」と「枚」はつながっている。枚岡神社の古い記録も「枚岡」だったり「平岡」だったりだが、現在は「枚岡」で落ち着いている。

ちなみに先ほど出た「枚方」の地名の由来は、淀川が形成した「平らな潟」の上に開けたところ・・らしい。

「ひとひらの雪」という言葉がある。漢字にすれば「一枚の雪」かな。ただ、「ひとひら」を変換すると「一片」も候補に出る。ということは「片」も「枚」と似たような意味で、全国の「片岡」さんも「枚岡」・「平岡」と同じ意味合いでついた名前なのかな。

拝殿で手を合わせる。奥にある本殿はこれまで火災や兵火で何度か焼失した後、江戸後期の文政年間に建てられたもので、最近では平成令和の大造営が行われ、令和2年に竣工したばかり。祭神は先に挙げたニ神のほかに、鹿島神宮の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)、香取神宮の祭神・経津主命(ふつぬしのみこと)も祀られている。四つの社が並ぶ建築様式は「枚岡造」と呼ばれるそうだ。

こちらで朱印をいただく。枚岡神社が開かれた地で現在は元宮とされる神津嶽は30~40分ほどの登山となる。ルートの案内もあったがさすがにこの暑さでは・・。

本殿の右手には「感謝と祈りの道」その他の摂社、末社にも向かう。奥には伊勢神宮、橿原神宮、神津嶽の遥拝所もある。こちらでも手を合わせて、そのまま鳥居の外に出る。

こちらには梅林が広がっている。もっともかつての神仏習合の時代にはいくつかの神宮寺があったのだが、明治の廃仏毀釈により寺が取り壊され、その跡地に梅の木が植えられたのだという。さまざまな歴史を持つ枚岡神社である。

続いて生駒聖天宝山寺に向かう。ホームの待合室で涼んだ後、やって来たのは偶然にもラッピング列車「ならしかトレイン」。先ほどの「狛鹿」の導きかな・・・。

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