まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第21回中国四十九薬師めぐり~今回は鉄道廃線・未成線シリーズ?・・・まずは三段峡へ

2022年12月07日 | 中国四十九薬師

前の記事は広島新四国八十八ヶ所めぐりで、佐伯区の観音寺を訪ねたことに触れたが、そもそもの目的としては中国四十九薬師めぐりの石見シリーズである。

順番だと萩にある第33番・円政寺が残っているが、先に島根に入り、今回は浜田の第34番・長福寺と邑南町の第35番・延命寺に行く。11月19日~20日にかけてのことである。順番を逆にしたのは、冬の凍結・積雪の時季に入る前に中国山地を越えておく意味もあったが、大きかったのは延命寺がある場所である。

延命寺があるのは邑南町の口羽。口羽といえば2018年まで三江線が走っており、現在も駅舎、ホームが保存されている。NPO法人「江の川鐡道」がその運営に当たっているのだが、活動の一環として、2つ江津側にある「天空の駅」・宇都井を出発して江の川の橋梁を渡り、広島県にちょこっとだけ入るトロッコ列車を不定期に運転している。そのトロッコ、この秋の運転最終日が11月20日とあったので、これはこの機会に乗らなければと思った。20日の14時40分発の便をネットで予約する。

前泊のため益田に行き、浜田を経由して邑南町まで行くのだが、浜田近辺といえば・・未成線である「広浜鉄道」というのがある。この建設工事の遺産が点在しており、浜田市も観光スポットとしてPRしている。今回はクルマ利用ということもあり、浜田からの移動には「広浜鉄道」の遺産めぐりも組み込むことにしよう。

中国四十九薬師めぐりで口羽に札所があると知った時、これは三江線の廃線跡めぐりが絡むかな・・と思っていたが、そこに広浜鉄道が加わるとは思わなかった。交通手段はクルマだが、鉄道の要素が強い巡拝になりそうだ。

さて、佐伯区の湯来町を抜け、国道191号線で安芸太田町に入る。国道191号線はこのまま益田も通るので、あとはこのまま走るだけだ。

しばらく走るうち、並走する太田川に鉄道の橋梁らしきものを見て思わず「!!」となった。そういえば、今たどっているのは可部線の三段峡までの廃線に沿っているところだった。可部線は、広浜鉄道の広島側のルートとして建設された線区であるが、2003年に可部~三段峡が廃止された。

その廃止区間、私は前回の広島勤務時代、廃線が取りざたされていた頃に一度乗りに行った。その時は三段峡もぐるりと回った。三段峡の駅前で、「頑張れ可部線、負けるな可部線」とギター片手に歌っていた人がいたなあ。廃止されてからもう20年近く経過するのか(その廃線区間だが、2017年に可部~あき亀山が新たに「復活」開業した)。

この後も走行中に太田川の橋梁や、駅、線路の跡地を見かけるのだが、予習なしで来たものだからそのまま通過してしまい、立ち寄ることは難しかった。

戸河内インターとも接している「道の駅来夢とごうち」に到着。休憩を兼ねて下車すると、駐車場から少し離れたところに橋梁が見えたので行ってみる。可部線の加計~三段峡が開業したのは1969年のこと。なお、前年の1968年、可部~加計は「赤字83線」の一つに挙げられ、廃止勧告を受けている。三段峡までは開業できたが、その先は結局工事が中止となった。そして、可部~三段峡の廃止・・。

こうして橋梁が多く残るのは、撤去するのに費用がかかるから放置されているだけなのかな。

そのまま国道191号線を進むと、安芸太田町役場の向かいにスペースがあり、「戸河内」の駅名標が置かれている。戸河内駅の跡だそうで、現在はバス停になっている。

ここまで来ると終点の三段峡駅跡にも行ってみることにしよう。国道191号線からはちょっと寄り道になるが、三段峡自体は現在も観光スポットなので特に迷うことなく進む。三段峡駅の手前では線路跡が現れ、その下をくぐってかつての駅前に出る。

こちらも現在はバス停、交流広場となっており、片隅には可部線のモニュメントが設置されている。芸備線が廃線となって久しいが、それで三段峡の客足が減ったことになったかどうか。

ちょうど、広島行きのバスがやって来た。三段峡からは高速道路経由便も含めて1日10数本あり、一応、可部線に代わるだけの利便性は保たれているようだ。一般道経由便だと2時間、高速道路経由でも1時間半ほどかかるが・・。

せっかく来たので、三段峡を少し散策してみよう。案内板には、昨年の大雨の影響で、正面口からは1キロほど行った赤滝までしか行けないとある。そろそろ夕方近い時間帯、私もそこまで奥深く行くつもりはないので、往復するにはちょうどいい距離だろう。

三段峡といえば三段の滝、二段の滝、黒淵の渡舟などが知られ、散策路は全長16キロに及ぶが、今回はそのうち1キロの往復である。それでも、まさか中国四十九薬師めぐりの前段で三段峡を訪ねることになるとは想定しておらず、思わぬ形での再訪となった。

紅葉もそろそろ終わりの様子だが、遊歩道をてくてく歩く。散策の人もそれなりにいて、すれ違ったり追い越したり。

短い散策路の中だが、竜ノ口、姉妹滝といった見どころもある。

20分ほどで、通行可能区間の終点である赤滝に着く。微生物の珪藻類の影響で岩肌が赤みを帯びていることからこの名がついた。

この先の通行止めの標識まで行き、引き返す。思わぬ形での可部線廃線跡、三段峡訪問も含めて、中国四十九薬師めぐりに広島県北西部も加えることができた。

この先改めて益田に向けて国道191号線のドライブを続ける。三段峡のもう一方の入口からアクセスすることもできるが、さすがにそこまでの時間はなく、そのまま山間の景色を過ぎる。そろそろ、県境を越えるところだ・・・。

コメント