大山寺を目指す今回の中国観音霊場めぐり。それと中国地方のローカル線大回りを兼ねる旅の途中で、山陽線で岡山に来てから津山線~因美線と乗り継いで智頭に到着。この日は日本海側では雨の予報で、智頭でもホームに退避して列車を待つ人が目立つ。
折り返しとなる12時56分発の鳥取行きは、智頭急行の車両の2両編成。先ほど1両の中に収まっていた乗客も2両に分かれてゆとりを持って乗車する。同じく津山から鳥取を目指しながらもいったん離れていた国道53号線と、千代川に沿って走る。昼食の後ということもあり、ボックス席でウトウトするうちに鳥取に到着。
鳥取には1月に西国四十九薬師めぐりの但馬シリーズの帰途に立ち寄った。その時は列車からバスに乗り継ぐために1時間近くいたが、今回は列車の乗り換えだけである。17分の接続で14時01分発の快速「とっとりライナー」米子行きに乗り換える。まあ、鳥取については中国観音霊場めぐりの満願の地であるし、また来ることになる。今の見通しでは間に倉吉シリーズを挟んで夏までには来ることができるだろう。
「とっとりライナー」は、アニメ「名探偵コナン」のキャラクターが描かれた車両。鳥取県は境線を走る「鬼太郎列車」が知られていて「まんが王国」をアピールしている。こちらの「コナン列車」も、ドアの横に「パシャッ」と書かれ、ちょうど列車に乗る前に記念撮影でもできそうなスペースがある。
快速といっても、鳥取近郊の青谷までは各駅に停まる。この辺りも海岸に近いが列車はやや内陸を走る。松崎を過ぎると、東郷湖に面した燕趙園の建物が見える。次の倉吉シリーズを回るにあたり、この辺りで泊まるのもいいかなと考えているが、なかなか手頃な宿がない。結局は倉吉の市街地に泊まることになりそうだ。
下北条に到着。「ようこそ 名探偵コナンに会えるまち 北栄町へ」ということで、コナン君のパネルがお出迎え。
その中心となるのは隣の由良。「コナン駅」の愛称もある。ここで下車する人、あるいはクルマで駅までやって来て「コナン列車」を撮影する人も何人かいる。少し前に山陰線のこの区間に乗った時には、大陸の人たちがこの駅で結構降りていたのを覚えている。ちなみに、中国語で「コナン」は「湖南(省)」ではなく「柯南」と書くそうだ。どうでもいいことだが。
雨は鳥取を出る頃には止んでいた。ただ曇天は続き、左手には大山が広がるはずだが見えず、右手に日本海からの風を受ける風車群を見る。
15時47分、米子に到着。大山寺へのバスは16時50分発ということで時間がある。かといって、鳥取から後の鈍行では間に合わない。また、先ほど通過した大山口からも16時50分発のバスが出ている。大山寺へは大山口からのほうが近いので、大山口発のバスに乗れば米子発より20分ほど早く着く。ただ先ほどの「とっとりライナー」で大山口に下車すると時間を持て余すので(地図で見たところ、駅周辺で1時間以上の待ち時間をつぶせそうなスポットは見当たらない)、いったん米子まで出て、次の列車で大山口に行くことにした。青春18だからこそできることだ。
米子駅前のコンビニで、この日の夜食その他を仕入れた後、16時15分発の「とっとりライナー」に乗る。先ほどの「コナン列車」が折り返す。鳥取からの便では通過したが、こちらでは停車する大山口を目指す。
ログハウス風の大山口に到着。下車したのは私ともう一人で、その人は迎えのクルマで駅を後にした。駅前で少し外れたところに大山寺行きのバスが停まっているので乗れるのは間違いないが、このタイミングでは米子方面に向かう列車もなく、バスに乗るのは私だけのようだ。
果たしてそうで、最後部の座席に陣取る。16時50分発だが大山寺への最終便である。途中、昔ながらの格式ある家が並ぶ佐摩の集落を抜ける。この辺りは坊領道と呼ぶそうで、かつての大山寺への参詣道で、またその名前から察するにかつて大山寺が所領としていた一帯なのかなと思う。
集落を抜けるとバスもスピードを上げ、周囲は大山の自然林に入る。外も暗くなってきた。そんな中17時20分、大山寺のバス停に到着。霧というか靄の中で、視界が効かない。最初は眼鏡が曇ったのかと思ったが、眼鏡を取っても同じである。そんな中、案内板を頼りに車道を歩く。ただ通りの店は軒並みシャッターを下ろしていて、外を歩く人もいない。一瞬、この先大丈夫かなと思ってしまう。
5分ほどで着いたのが、この日の宿である「ホテル大山しろがね」。幸い、駐車場には何台もクルマが停まっていて、ちょうど家族連れもチェックインするところ。ようやくホッとする。まずは翌日14日の参詣に向けて、ゆっくりした一夜を過ごすことにする・・・。