まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第17番「国分寺」~近畿三十六不動めぐり・5(天神祭を前にして・・)

2019年07月26日 | 西国四十九薬師

第3回の四十九薬師めぐりで三重の石薬師寺、四天王寺を訪ねたその次は、大阪市内である。国分寺は近畿三十六不動めぐりの札所で訪ねたことがある。札所としての不動明王は境内の隅の「みのり不動尊」というもので、寺の本尊としては薬師如来であるというのはその時触れたことである。

大阪市内なのでそれこそいつでも行けるのだが、早い時期に行こうと、先の薬師めぐりからちょうど1週間後の7月21日に出かける。国分寺は大阪メトロの天神橋筋六丁目駅からすぐのところにあり、谷町線の大日方面側の地上出口から出るとより近い。外の暑さに触れる時間も短い。

この日はちょうど参議院選挙の投票日。投票当日なので選挙カーが走ることもなく、駅前で候補者が演説するわけでもなく静かだ。なお、大阪選挙区では定数4人に対して12人が立候補した。その夜の選挙特番では、放送開始から5分もしないうちに4人の当選確実が報じられた。維新の現職と新人の2人、そして公明、自民の各現職である。大阪独特の事情かもしれないが、改めて維新の強さを感じたものだ。別に選挙特番を見続ける意味はないかとテレビを消した。私は今回期日前投票を利用したが、気になるのは全体の投票率。最終的に50%を割ったそうだ。率はオリックス・バファローズの勝率を辛うじて上回ったようだが、そんな次元の低い争いだったとは情けない!

・・この記事は札所めぐりのものだった。目の前に国分寺の門が建ち、中に入る。大阪市内にあることを差し引いても小ぢんまりした境内と感じるのは前回と同じだ。

国分寺の歴史は飛鳥時代、斉明天皇にさかのぼる。法相宗の道昭が孝徳天皇の菩提を弔うために建てた寺で、当初は長柄寺という名前だった。長柄は今も地名や阪神高速の入口の名前で残っている。奈良時代に聖武天皇が全国に国分寺建立の詔を出した際、摂津の国分寺となった。ただ、天王寺区にも摂津の国分寺跡とされる地があるそうだ。関連はわからないが、時代によって移り変わりがあったのかもしれない。

その後は大坂夏の陣の兵火に遭って全焼、江戸時代に復興、明治の廃仏毀釈で衰退、明治から大正で復興、太平洋戦争中の室戸台風と空襲で灰塵に帰し、戦後にまた復興して1965年に現在の昭和金堂が建てられた。大阪にあって災難と復興を繰り返して現在に至っている。本尊薬師三尊像と四天王、十二神将像が祀られている。

右手が不動堂。その奥に建つのがみのり不動尊だ。

また金堂の左手が阿弥陀堂と、弘法大師の石像である。国分寺は戦前の写真ではもっと境内が広く、金堂も大きかったように見えるが、戦争や周りの復興・都市化で今のようなコンパクトな寺になったわけだ。

そんな中に慰霊の建物がある。扉の銘板には、天六ガス爆発事故で犠牲になった方たちの名前が記されている。1970年、地下鉄谷町線の建設工事で、地中のガス管から漏れた都市ガスが引火して大爆発、死者79名、負傷者420名の大惨事となった事故である。大阪の市街地での大規模災害としては1972年の千日デパート火災に次ぐものである。今の天六や千日前の平和な様子からはそうした様子はうかがえないが、これも防災の面からは忘れてはならない出来事と言える。

納経所に向かう。こちらでは普通のバインダー式の西国四十九薬師の朱印の他に、薬師如来の真言「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」に漢字の音を当てた墨書のバージョンを勧められる。漢字でどのように書くのかは画像をご覧いただくとして、「(こういう墨書を授けるのは)ウチだけですよ」とのことで、こちらもありがたくいただく。

さてこれで、次の行き先を決めるくじ引きとサイコロ。今回出たのは、

1.三田(花山院)

2.高野山(龍泉院、高室院)

3.湖南(善水寺)

4.伏見(法界寺、醍醐寺)

5.名張(弥勒寺)

6.加古川(鶴林寺)

兵庫、和歌山、滋賀、京都、三重と広範囲に出る中で、結果は「6」。西に振れて加古川である。この鶴林寺は新西国三十三観音で訪ねたところ。時間を置いて訪ねるとまた違った楽しみがあるだろう。

時間はまだ午前中だが、暑いし早々とこの日のお参りは終了。歩いてすぐの天神橋筋商店街のアーケードに入る。

7月24日、25日は天神祭。メインとなる大阪天満宮はこの先だが、商店街も天神祭ムード一色だ。またそれぞれの神輿も姿を見せている。これを女性だけでかつぐ「ギャルみこし」も天神祭の名物である。

ここまで来たら「天満酒蔵」に行くところだが、この日は酒肴、もとい趣向を変えて環状線ガード下の「千歳屋」の立ち飲みに入る。瓶ビールが安く、アテも庶民的で安いのが揃っている。寺参りの後の暑気払いはやはりこれに限る・・・。

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