まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第34番「四天王寺」~西国四十九薬師めぐり・4(MieMu 三重県総合博物館)

2019年07月21日 | 西国四十九薬師

7月14~15日、西国四十九薬師めぐりの三重北部シリーズと大相撲名古屋場所観戦をくっつけたお出かけ。その薬師めぐりは14日の早い時間に終わった。後は夕方までどのように過ごすかである。

津というところは近鉄やJRで何度となく通っているが、目的地として訪ねるのは初めてである。歴史的なスポットならば津城が挙げられるが(それを言うなら先ほど訪ねた四天王寺も由緒あるところ)、それよりも私の興味をひいたのが三重県総合博物館である。「MieMu(みえむ)」の愛称もある。ここの展示がなかなか面白いというので、札所めぐりを早い時間で済ませて午後の時間をここに充てようというものである。

MieMuへは津駅から徒歩25分とあるが、ここに来て雨が少し強くなったので無理をせず三重交通のバスに乗って行く。立ち客も大勢出る。それだけ人気のスポットなのかな。

バスに乗ること7~8分で総合文化センターのバス停に着く。道を挟んでMieMuと総合文化センターが並ぶ一帯である。駐車場も広く取られているが次々にやって来るクルマで結構混雑している。

MieMuは2014年に開館した新しい博物館である。元々は県立博物館があったのだが、「三重県の多様で豊かな自然と歴史・文化を紹介する」「三重の自然と歴史・文化は、県内全域で一様ではなく、地域ごと、集落ごとにみていくと、その地域独特の自然や歴史・文化がみられます。そういう地域ごとの、よそにはない『すごさ』を集めて、改めて三重全体の『すごさ』とし発信していこうとする」という「三重の持つ多様性の力」(三重県総合博物館展示案内より)というテーマを持つところである。

三重の多様性というのは以前から感じていたところで、伊勢、伊賀、志摩、紀伊という4つの国があり、紀伊半島にあって南北に長く、それを感じるということで三重県を舞台に「サイコロの旅」をやったこともある(結果は桑名から熊野市まで回った)。それを紹介するというのも面白そうである。

博物館というと堅苦しい、重々しいというイメージがあるかもしれないが、建物も新しいし、交流スペースも多く設けられて開放的である。

もっとも、多くの客が訪ねているのは企画展によるところもあるのかなと思う。この時(2019年7月6日~9月16日)に開催されていたのは、「この男がジブリを支えた。 近藤喜文展」。スタジオジブリの高畑勲・宮崎駿両監督から厚く信頼を寄せられたアニメーターで、MieMuの開館5周年記念の特別展示である。

日本のアニメは素晴らしい作品が多く、国内外問わず熱心なファンも多い。中でもジブリ作品というのは作品の質やストーリー、メッセージ性に富むとされている。ただ悲しいかな、私はほとんどジブリ作品を鑑賞したこともなく、それは高い鑑賞眼が求められたり、作品に込められた文明批判を読み取る気持ちを持って観なければならないものだという印象を持っている。

それはさておき、企画展なので入場する。アニメの原点となるイメージボードの原稿の展示が多い。一つの作品を創るにあたり、作品の世界観や雰囲気を一度絵にして、そこからストーリーを膨らませ、またキャラクターに動きをつけていく。その過程がよくわかるようになっている。代表作とされる『火垂るの墓』でも、キャラクター一人一人の設定や、ストーリーが進むにつれて設定の細かなところを少しずつ変えるように指示を出したり、それぞれに命を吹き込むかのような作業を積み重ねた様子がよくわかる。

他には、『ふとふり返ると』という、画文集の展示がホッとさせる。日常の風景、季節の移り変わりを細かく捉えたスケッチ集で、人々の表情も豊かに描かれている。

ただ、この近藤喜文という人はこれから円熟味を増すかと言われていた矢先、1998年に47歳の若さで亡くなったという。

企画展を見終えた後で、基本展示室に向かう。展示室内をぐるぐる回るようなルートになっている。まずは三重の自然ということで、大地の成り立ちやかつて存在した巨大生物について紹介する。

続いては三重の豊かな山、海と、そこで暮らす人々の紹介である。動植物の剥製や標本も数多く並ぶ。また博物館の学芸員が現地に出向いて暮らしの様子を取材したフィールドノートも展示されているし、昔の人々の暮らしを収めた写真もデジタル化されてタッチパネルで見ることができる。山といえば北は鈴鹿山脈、南には日本有数の降水量がある紀伊・熊野の山々がある。

また海も伊勢湾、志摩半島のリアス式海岸、熊野の雄大な黒潮と多岐に渡る。その土地に応じた長い暮らしの歴史もわかりやすく紹介されている。

また、昔から東西交流のさまざまな姿を見せていたのも三重である。東海道もあれば伊勢参りも盛んで、海上輸送でも栄えたところである。かつての史料と模型を上手くミックスしているので入りやすい。熊野詣でからの西国三十三所めぐりの様子もあれば、伊勢参りの御師屋敷の様子も詳しく紹介されている。

御師屋敷での本膳のメニューの豊富さも三重、伊勢の豊かさを映し出している。

結局企画展と基本展示を合わせて2時間ほどいたが、展示の量も豊富だし、三重に関する書籍を自由に閲覧できるコーナーもある。なかなか充実したスポットだった。

再びバスで津駅に戻る。この日の宿泊は津駅前に建つ「アスト津」ビル内にあるホテルグリーンパーク津である。ここからは津の夜の時間を楽しむことに・・・。

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