まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第24番「岩屋寺」~近畿三十六不動めぐり・16(不動めぐりは3巡すべし)

2018年06月01日 | 近畿三十六不動
山科の大石神社を参詣し、境内の奥に伸びる細道を歩く。すると木に覆われた一角に出る。何か塚があり、散歩らしい地元の人が、前を通り過ぎる時に軽く手を合わせていた。

これは大石内蔵助の遺髪が納められた塚だという。このようなものがあるのは、ちょうどここが内蔵助が山科に隠居していた時の屋敷があるからとされている。旧居跡を示す石碑も建てられている。浪人が国を替えて住むのは当時なかなか難しかったようだが、近隣に大石家の縁者が土地を持っていたこともあって住むことができたそうである。

その旧居跡から石段が伸びている。これが岩屋寺である。札所めぐりでは珍しく曹洞宗の文字が見られる。この岩屋寺、この上に鎮座する山科神社の別当寺として建てられたというが、詳しい創建は不明だという。今ある曹洞宗の寺の中には、住職もおらず荒れ放題となっていたところに、永平寺で修行した雲水の僧が住むようになった(村の人たちが葬式をしてもらったり、文字を教えてもらう代わりに寺のお堂を住居として提供した・・との説も)ことが直接の由来になっている寺もあるようだ。この岩屋寺もそうした歴史があるのかもしれない。

山門をくぐる。山門といっても仁王像がおわすわけでもなく、また境内も小ぢんまりとしている。寺というより、田舎の屋敷に来たかのような風情である。

他にお参りする人もおらず、まずは本堂の前でお勤め。先ほど今熊野観音寺で開いた西国三十三所用とは別の経本である。

お参りする方から左手に納経所がある。ブザーを鳴らすと、少し間があって寺の女性が格子を開けた。「足が悪うて時間かかってすんまへんなあ」と。いえいえ。

納経帳のバインダーを提示すると、「せっかくなんで、お不動さんにロウソクあげてやってください」と、本堂正面の障子を開けてくれる。「お不動さんで来はったん?そういう方は少のうてねえ・・・。大石さんの家は見はったん?ああそうですか・・・ 」と。大石さんの家って、300年前がついこの間までそこに住んでいたかのように思えるような口調である。

寺の方の仰せのとおり、本堂に上がってロウソクを供える。正面の厨子には秘仏の本尊不動明王が祀られているとのことだが、大石内蔵助の念持仏だったという。内蔵助の念持仏といえば、赤穂の花岳寺にある観音像もそうだったのではないか。花岳寺が新西国三十三所の札所に選抜されているのも、こちら岩屋寺が近畿三十六不動の一つになっているのも、大石内蔵助、忠臣蔵が絡んでいるということである。これも歴史の面白さの一つだと思う。

お参りする間に朱印をいただいた納経帳を返していただく。そこで、「お不動さんめぐりは初めて?」と訊かれる。そうだと答えると、「お不動さんはぜひ3べん回ってください」と言われる。その3べんというのは、「過去・現在・未来」それぞれの供養をすることを意味しており、三十六不動を3回というのは36かける3で108、煩悩の数・・・ということのようだ。1巡目はまだ「過去」の段階だそうだ。「一生かかってええくらいゆっくり回りはったらよろしいわ。ご朱印も重ね印をしてもろうたらええ・・・」と送り出される。近畿三十六不動の3巡か・・・。西国三十三所の2巡目もやっているくらいだから、それこそぼちぼちという感じで行くことができればいいのかなと思う。

さて、近畿三十六不動めぐりの札所としてはこれで一つ回ったことになり、次どこに行くかのくじ引きとサイコロである。出走順は・・・

1.左京(曼殊院)

2.大原(三千院)

3.生駒(宝山寺)

4.和歌山(根来寺)

5.神戸(大竜寺、無動寺)

6.湖西(葛川明王院)

・・・この中で出たのは「5」。神戸市内である。神戸市といっても三宮の市街地からは山の中に入るところで、これも神戸市の自然の豊かさを伝えるところなのかなと期待する。

この後は、隣接する山科神社に参拝。岩屋寺の横から急な坂道と石段を上がり、境内へ。こちらは平安中期、宇多天皇の勅願により創建されたとされている。大石内蔵助もこの地に隠棲していた時は、大願成就ということでお詣りしていたともされている(大石神社ができたのは後の話で・・)

これで岩屋寺の参詣を終えて、前からの記事でも書いているが、わかさスタジアム京都(西京極球場)でのプロ野球観戦である。こちら岩屋寺から5分ほど歩いて大石神社のバス停がある。山科駅や四条河原町と醍醐方面を結ぶ系統がある。次に来るのは四条河原町行きで、この後阪急に乗るぶんには都合がよい。

途中で国道1号線に出て東山トンネルを抜ける。東大路通に入ると少し渋滞する。ちょうど清水寺から祇園にかけての観光エリアで、歩道も賑わっている。目立つのは着物のレンタル店。外国人にも好評のようだ。最後は八坂神社前から四条通に入り、河原町に到着。大石神社からは40分ほどかかった。

阪急の地下ホームに行く。車内にはバファローズ、マリーンズ双方のファンも乗り合わせている。京都の人か、あるいは京都見物+野球か。

さて試合のほうは前の記事のとおりバファローズが接戦を制し、交流戦に入った。昨年はパッとしなかった交流戦、今年こそは好成績を収めてほしいものである・・・。
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