まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第21番「神呪寺」~新西国三十三所めぐり・10(「西宮」の由来)

2016年05月24日 | 新西国三十三所
神呪寺の参詣を終えた後は、次の目的地まで歩くことにする。向かうのは廣田神社である。山門にバス停はあるのだが、この時間は1時間に1本しかなく、待ち時間も中途半端に長い。

交通量の多い車道を避けるように、森林公園の延長にあるような遊歩道がある。ここには四国八十八所の祠を見かける。甲山八十八所の一部で、弘法大師ゆかりの寺らしい光景が今も残されている。

遊歩道が終わり、車道に出る。ここからは住宅やマンションが建ち並ぶ。ここを下るのだが結構勾配がきつい。マンションはこの斜面を切り開くように建てられており、要塞のようにも見える。朝に地すべり資料館を見たのだが、この辺りの斜面は大丈夫だろうか。上層階からだと西宮の市街地や大阪方面の景色を望むことができる。スマホで徒歩経路の確認で地図を見ると、この辺りの地下を新幹線の新六甲トンネルが走っているのがわかる。

神呪寺から40分ほどの歩きでだいぶ高度が下がり、森が見えて来ると廣田神社に到着する。神功皇后の三韓征伐の帰りに、この地に荒魂を国土の鎮めとして祀ったのが最初だという。その時はこの辺りは海岸だったと言われている。

この日は西宮市をずっと回っているが、「西宮」という地名の由来は廣田神社とされている。西宮と言えば「えべっさん」ではないのか?と思う方もいるだろうが(私もそうだった)、歴史的には廣田神社が古く、神社の格としても高い。西宮戎神社はもともと廣田神社の摂社の一つである。昔は京の都から西国街道を通った西にある大事な宮ということで、「西の宮」と呼ばれた。また神功皇后ゆかりということで勝ち運、武運長久のご利益があるとされ、昔は源頼朝が領地を寄進したり、豊臣秀吉が社殿を改修したこともある。

そして今は・・・阪神タイガースが毎年必勝祈願に訪れることで知られている。同じ西宮に本拠地を持つ球団として、地元の由緒ある神社、勝ち運の神様となるとお参りすることになる。タイガースの必勝絵馬も多く飾られている。監督や選手が書いたものは見つからなかったが、熱心なファンの願い事が多く見られる。ちなみにこの日は甲子園で試合が行われており、タイガースはカープにサヨナラ勝ちだったのだが、もちろん私が廣田神社に手を合わせたからではない。ちなみにバファローズの必勝祈願は住吉大社だが、私個人は観戦当日は藤井寺の葛井寺にお参りしているが、ご利益のほどは・・・。

境内の一角にはご神水が湧いている。一口飲んでみると甘い味がする。六甲からの伏流水で、西宮が酒どころになった一因に水が良いからとされている。摂社には酒造りの神である松尾大社の祠もある。

さてここまで来れば、「えべっさん」の西宮神社にも参拝しておこう。今朝からずっと歩いてきたが、さすがに疲れてきたので神社前のバス停から阪神バスで移動する。西宮神社は阪神の西宮駅からほど近い。こちらは戎神社とともに開かれた町とあって、駅ビルも「エビスタ西宮」だし、えびすの名前をつけた店も結構ある。ここで飲むならヱビスビールかな。

朱塗りの表大門に着く。大阪で「えべっさん」は今宮戎神社だが、「えびす」を祀る神社の総本社は西宮である。一月の十日えびすでは多数の参拝者を呼ぶが、その中でもっとも有名な行事は10日の朝に行われる開門神事だろう。門が開くと一斉に大勢の人が走りだし、競走で福男を決めるというアレである。境内の南東にある表大門をスタートし、途中で二度曲がり角があって社殿まで着く。毎年朝の番組で生中継もされる。福男は自分に福が来るというだけではなく、周りの人に福をもたらすということで商店街への挨拶回りに引っ張りだこだという。

こういうところを走るんやなと思いながら参道を行く。私に走れと言われても全力疾走は無理だろうな・・・。

神呪寺、廣田神社、西宮神社と、西宮を代表する寺社を回ったところで(門戸厄神が抜けているとのツッコミあるかな?)、この日は終了とする。ヱビスビールで一杯・・・は置いといて、早く帰宅して相撲中継を観なくちゃ・・・・。
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