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受付で愛山料300円を納めて中に入る。まずは石段を上り、普明殿に出る。ここから、鞍馬寺が運営するケーブルカーが出ているのだが、現在はメンテナンスのため運休中。まあ、元々はどうしても歩くのが難しい方向けの乗り物で、普通に歩ける人は参道を歩くよう呼び掛けられているが。
その参道は、「近うて遠きもの、くらまのつづらおりといふ参道」と、清少納言が枕草子で綴ったことで知られている九十九折の参道。この九十九とは、1を足すと100になるという意味ではなく、非常に多くのという意味だという。ただ、この記事を書くにあたり鞍馬寺のサイトを見ると、「遠きて近きもの」となっていた。これは単なる書き間違いか、それとも前後の文脈から、「遠いようで近いのだから、ケーブルカーに乗らずに歩きましょう」という呼び掛けにわざと変えているのか。
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鞍馬寺の信仰は「尊天」という。水、太陽、大地から放たれる「氣」を宇宙のエネルギーによるものとして、「月輪(水)の精霊・愛」を千手観音、「太陽の精霊・光」を毘沙門天、「大地の霊王・力」を護法魔王の姿で現したもので、この三身を一体として「尊天」と称している。新西国の札所というのは観音霊場なのだが、ここ鞍馬寺はその視点からすればちょっと違うような気がする。宇宙のエネルギーというが、大日如来とも違う(そもそも、ここまで上ってきた中で大日如来というのはなかった)。先の金剛床とも合わせて、これまで訪ねた仏教寺院とはどこか違うというのか。だいたい、仏教で「パワースポット」というのはあまりないことだと思う。むしろ神道に近いものではないだろうか。
・・・ここで思い出すのが、仁王門にあった「鞍馬弘教総本山」の額。鞍馬寺は平安の頃は真言宗に属し、その後天台宗の寺としての歴史が続いていたのだが、戦後1947年に鞍馬弘教として新たに独立した。一応天台宗系とは言っているが、昔からの神道や陰陽道も混ぜつつ、独特の信仰が育まれたところと言えるだろう。新西国が選定されたのは昭和の初めのことだが、もし同様の試みが戦後に行われていたとすれば、果たして鞍馬寺は新三十三観音霊場の札所に選ばれただろうか。
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金堂で参拝を終了して、次にどこに行くかである。洛北から南を窺いたかったところだが、そこはサイコロ次第である。
1.西宮(神呪寺)
2.長岡京(楊谷寺)
3.高野山(宝亀院)
4.福崎(金剛城寺)
5.龍野(斑鳩寺)
6.須磨(須磨寺、太山寺、須磨寺)
・・・ということで次の行き先だが、何が出るか。出たのは・・・「1」。今回は兵庫県の引きが強いなと思っていたが、次は西宮である。こちらも地元のウォーキングロードが整備されていたと思うのだが・・・・。