まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

観戦記・日本独立リーグチャンピオンシップ第3戦、BCリーグ初の日本一

2011年10月31日 | プロ野球(独立リーグほか)

Dscn145429日の夕方、徳島は蔵本にある「JAバンク徳島スタジアム」にクルマで到着。17時試合開始、16時の開門にちょうど間に合うかという時間であったが、すでに場内の駐車場は満杯。1キロほど離れた別の施設の駐車場を指定される。私の前にも後にもクルマが続いており賑わいを予感させる。

Dscn1577前週から始まった、四国アイランドリーグと北陸・上信越のBCリーグの総合優勝チーム同士での対戦となる「日本独立リーグチャンピオンシップ」。前週の北陸シリーズは金沢で行われ、BCリーグ優勝の石川ミリオンスターズが四国優勝の徳島インディゴソックスに連勝、王手をかけて徳島に乗り込んできた。一方の徳島は今季四国初優勝ということで、本拠地でのチャンピオンシップは初めて。

Dscn1461どちらのリーグも応援したいところであるが、この日石川が勝てばBCリーグとして初めての独立リーグ日本一ということになるため、やはりBCリーグ側を応援したい。ということで三塁側スタンドに向かう。

Dscn1473「わざわざ石川から来る人もそういないだろう。50人くらいのものか」と思っていたが、いやいや。石川のユニフォーム、応援グッズに身を固めた人たちが結構な数で座っている。さすがにホームの徳島ファンに比べれば少ないが、200人は軽く超えているのではないだろうか。後で聞くところでは金沢から応援バスを仕立ててやって来た人も多いとか。石川のテレビ局からも取材陣がやってきており、「あの子、アナウンサーの○○さんやで」とかいう会話も聞こえる。

Dscn1464試合前には「明日連」による阿波踊りが披露された。何だかこう、笛と鐘の音が血をたぎらせるというのか、試合に向けたムードを盛り上げてくれる。この阿波踊りの鐘、徳島の応援やアウトコールでも使われており、「徳島らしいな」と感じさせる。

Dscn1485その後両チームの監督、コーチ、選手の紹介が行われ、いよいよ試合開始となる。スタジアムDJの女性もスタンドの中にいて観客と一緒に球場を盛り上げている。何せ後がなくなった徳島は何とかしたいところ、応援にも力が入る。

Dscn1492Dscn1509さて試合、徳島が大川、石川が南。前週の金沢での第1戦と同じ組み合わせ。両エースの先発となった(ユニフォームが同じような色合いでわかりにくいかもしれませんが、最初が大川、次が南)。

Dscn1521初回、制球の定まらない大川から2つの四球などで二死1・3塁のチャンスを迎えた石川。早くも三塁側スタンドの応援に力が入るが、5番・笹沢が凡打に終わり先制のチャンスを逃す。2回もエラーで出塁するが、座親の3バント失敗などもあり得点につながらない。

Dscn1526その裏、先発の南が先頭の神谷に内野安打を許すが後続を断ち切る。2回も根鈴、輝に連打を許すが後続を打ち取り、序盤は両投手ともやや不安が見られたもののまずはゼロでの滑り出し。

Dscn15373回以降は両投手によるテンポのいい投手戦となる。南が力で徳島の打者から三振を奪えば、大川も制球がよくなってきて打ち取る投球を見せる。気づけば石川はノーヒット、打球が外野にすら飛ばないということになった。

5回裏、徳島先頭の東がバットを折りながらもセンター前に運んで出塁。続く大谷真の時に送りバント成立かと思われたが、ボークか何かあったのか(説明がないのでよくわらかない)、東が二塁へ進んだ状態でプレーが再開し、ここから大谷が再びバントを決めて三塁に進める。

Dscn1556ここで2番・関口がちょこんと当てて二遊間を抜けるヒット。これで地元徳島が1点先制し球場に大きな歓声が響く。

Dscn1542この展開には選手もファンもやきもきするところ。この試合、石川の森監督が抗議やら何やらで出ている場面が多かった。先ほどのプレーに対しても審判からの説明がなく、「判定が徳島寄りやないか?」というファンの苛立ちもあり、結構野次が飛ぶ。

BCリーグの6球団の中で石川のファンたちが一番熱いのではないかと感じているのだが、この試合はヒットはおろか外野にも打球が飛ばない攻撃陣にも叱咤激励の?ヤジが飛ぶ。いいよな、こういう昔ながらの球場の雰囲気。

Dscn15766回も2つの四死球でチャンスをつかむが依然ノーヒット。こりゃ、石川の優勝ところか、大川のノーヒットノーランを見る可能性のほうが高いのではないかという気になってきた。

そして7回、先頭の座親が一塁への内野安打。悪送球もあって一気に二塁に進む。とにかくチーム初安打。ベンチ、スタンドに向けてガッツポーズ。

Dscn1586ここで次の佐竹が手堅く送ろう・・・としたのだが結局3バント失敗。選手が固くなっているわけではないだろうが、どうも思うようなプレーができていない。

Dscn1596続く代打・渡邊も三振に討ち取られたが、1番・戸田がストレートの四球を選びチャンスをつなぐ。ここまで1安打、外野への打球を許さなかった大川であるがここで限界と見たか、徳島ベンチはセットアッパーの岩根に交代。

Dscn1495ところが続く楠本にも四球を与え二死満塁、迎えるのは3番・謝敷。甲子園(大阪桐蔭)、明治大学でも活躍した好打者である。一打逆転のチャンスに当然スタンドは盛り上がる。「謝敷!男になれ!!」の声も。

フルカウントまで進み、続いて何球もファウル。ここで思い出したのは1995年の日本シリーズ、ヤクルト対オリックスの「小林宏対オマリーの14球」。後のなくなったオリックス・小林がヤクルト・オマリーに直球勝負を挑み続け、最後は空振り三振に打ち取ったという・・・・。

Dscn1615・・・ということを思い出したのがいけなかったのか。最後は岩根の渾身のストレートに謝敷のバットが空を切る。こんなに1点が重いとは。

Dscn1633ただ、南の力投が続き、初安打が出たことで試合の流れは石川に向きつつあったか。8回には「四番の仕事をしろ!」とずっと野次られていた深澤がレフト前ヒット。これがこの試合、石川の打球が初めて外野に飛んだシーン。続く笹沢は強攻策でヒットとなり、無死一・二塁。プレッシャーのかかる場面であったが敬洋がバントをきっちり決めて一死二・三塁。座親の死球で7回に続き再び満塁のチャンスとなる。

Dscn1642ここで先ほどバント失敗の佐竹。意地もあったのか三遊間をしぶとく抜く当たりを放ち、ついに1対1の同点に追いつく。

次の代打・小倉は三振に倒れ、迎えるのは戸田。逆転が期待されたが打球はキャッチャーへのファウルフライ。「落とせ!」という声が響くが、まあむなしい声援だ。

Dscn1660ところが、である。これを徳島の捕手・山村がミットに収めながらもまさかの落球。一塁側スタンドからはため息がもれる。大事に行き過ぎたか、それともプレッシャーで固くなったか。

結局これが明暗を分けたようで、戸田に押し出しの四球が出る。これで2対1、終盤に来て石川が試合巧者らしく逆転である。

Dscn1666これで完全に試合の主導権は石川に移ったようである。続く楠本も内野安打を放ち3対1と追加点を奪い、この回で一気の逆転に成功する。

Dscn1646先ほどまで苛立ちを見せていた石川のファンたちの応援も歓声に変わる。いよいよ、これまでBCリーグが超えられなかった「四国の壁」を超える時が来そうである。

Dscn1668ここで徳島ベンチは岩根をあきらめ、先日のドラフトで広島に育成枠で指名された守護神・富永をマウンドに送る。迎えるのは謝敷。「謝敷!指名されなかった悔しさをぶつけろ!」という声援が飛ぶ。

Dscn1673ただ力で富永が勝っていたか、三塁ベース付近への平凡なフライ。ここで徳島の三塁・松嶋と三塁ランナーの佐竹が交錯する形となった。結局守備妨害を取られる。ここでも「ベースの上やないか!」と森監督が抗議。どうもこの試合、徳島の斉藤監督もベンチから出る場面もあり、審判の技術というのがあれこれ注文つけられている。

Dscn1675この回で逆転してもらい、2点のリードを持ってのマウンドとなった8回裏、南が勢いづいた声援に対して三者三振でに応える。

Dscn1683そして迎えた9回裏。応援団の人がスタンドのファンに紙テープを配って回る。せっかくなので私もそれを手にしてその時を待つ。ファンの人も身を乗り出し、スタンドの最前列に並ぶようになった。

Dscn1677南が簡単に二死まで来たが、ここで森監督は投手交代。エースで来たのだからそのまま完投させたほうがいいと思うのだが、最後は抑えの切り札に任せるということで、佐藤が登板。

Dscn1684徳島最後の打者、東の打球がセンターに打ちあがり試合終了。マウンドに駆け寄る石川の選手たち。多くの祝福のテープが投げ入れられる。

Dscn1686Dscn1699試合終了後の両チーム同士の挨拶の後には祝賀モード。森監督の胴上げが始まる。やはり、胴上げというのは見るものである。

Dscn1743続いて球団社長、コーチらの胴上げが行われたのだが、ここで胴上げとなったのが、BCリーグの村山代表。「新潟にプロ野球チームをつくる」そこから始まり、「地域と地域の子どもたちのために」をスローガンとしてやってきた代表。一方でBCリーグの四国超えというのを誰よりも願っていたはずで、今夜とうとうその思いが実現できたというところであろう。

Dscn1720この後はチャンピオンシップの表彰式ということでトロフィーが手渡される。

Dscn1735この後は記念撮影、そして選手たちも手に手にトロフィーを持ってそれぞれの記念撮影を行う。

Dscn1745独立リーグ日本一になったところで必ずしもNPBから指名がかかるわけではないのだが(結局、石川からは育成を含めたドラフト指名なし)、それでも自分たちの好きな野球ができること、野球を通して地域と、地域の子どもたちに夢を与えるという自己実現ができていること、青春の一ページとして残ることであろう。

Dscn1722一方で、胴上げ、表彰式を一塁側ベンチ前で斉藤監督以下ずっと立ったまま見ていた徳島の選手たち。今季初めて四国を制したわけだが、チャンピオンシップではいいところなく3連敗という形に終わった。ただこれを糧にしてほしいし、リリーフでこの日も登板した富永が広島の育成ドラフトで指名された。そのことも励みにしてまた来季も四国を盛り上げてほしいものである。

グラウンドでの選手たちの喜びも一段落したところで、私もそろそろ引き上げることにする。すると、正面の関係者入り口で関係者と談笑する村山代表の姿を見かけた。

Dscn1756実は、村山代表の著書『もしあなたがプロ野球を創れと言われたら』を持参していたのだ。ひょっとしたら・・・という気持ちがないわけではなかったのだが、せっかくのチャンスである。お祝いの言葉をかけさせていただき、著書の見開きにサインをいただいた。また来季もすばらしいプレーを見せるリーグを見せてほしいものである(そうしょっちゅう観戦に行けるわけではないのだが・・・)。

Dscn1749スタンドの興奮(結局この試合の観客は875人と発表されたが、その人数以上に雰囲気として盛り上がっていたように思う)冷めやらぬ中、夜道を歩いてクルマを取り戻し、徳島市街へ。急に宿泊を決めたものでホテルの空き部屋がなかなか見つからなかったのだが(まさか石川から来た人たちがたくさん宿泊しているわけではないだろうが)、そんな中で見つけた剣山ホテルというところにチェックイン。

Dscn1750荷物を置き、一人祝杯をあげようということで(一日クルマでの移動だったために、ようやくビールにありつけるという安堵感もあり)、駅前に出向く。見つけたのが徳島の魚を売り物にする「魚家」というところ。BCリーグ、そして四国アイランドリーグのスポンサーでもあるアサヒビールでなかったのが残念だが、一番搾りで乾杯。

Dscn1752Dscn1753地物のアジをメインとした刺身の盛り合わせやら、徳島は小松島あたりの郷土料理というフィッシュカツなどを味わう。小ぢんまりとした店であるがなかなかいい雰囲気である。

Dscn1755最後の締めは、ということで(身体のことを考えればあまりこういうことはしないほうがいいのかもしれないが)、徳島ラーメン。駅前にてとんこつ醤油味を楽しむ。こうした地元の味を楽しむのも、独立リーグの球場めぐりの楽しみの一つである。

Dscn1618このような形で終了した今季の独立リーグ。NPBからは育成枠であるが、何名かの選手が指名を受けた。ただ一方で今年NPBから戦力外通告を受けた独立リーガーもいる。一シーズンが生き残りをかけた競争である。ただ一方で、こうした「地方」での「プロ野球選手」という経験は、NPBに入ってからでも、あるいは現役の野球選手から身を退いた後でも貴重な経験として残るのではないだろうか(特にBCリーグでは、選手たちが第二の人生を地域の企業などに就職することで地元への恩返しをすることも奨励している)。今年のドラフトでは親族が監督を務める球団に指名されなかったことで憮然とした態度を示す選手(とその親族)の姿も見られたが、何かが違うと思う。もし彼が指名球団への入団を拒否するのであれば、こういう独立リーグで1年でも2年でもやってほしい。

・・・最後が少し話が横にそれたが、来季も熱戦を期待している独立リーグ。北陸、四国、また観戦に訪れたいものである・・・・。

まだ興奮の

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