10月22日から開幕、連日熱戦が繰り広げられている都市対抗野球。今年は東日本大震災の影響もあって例年の夏開催から秋開催、そして場所も東京から大阪へという異例の開催となった。そのための注目度も心配されたが、大阪開催ということで日本生命、NTT西日本といった地元チームの試合では上段席も結構な入りになるなど、関西の野球ファンにとっては新鮮なことなのかな、と思う(とは言うが、やはり都市対抗野球は夏の風物詩として、地方からも客が集まりやすい東京でやるのがベストだと思う。逆に、例年秋の大阪での日本選手権をもっと盛り上げてほしい)。
その大会5日目、私の勤務先企業が「さいたま市のチーム」として出場するということもあり、今回は関西の各支店にスタッフの動員がかかった。東京勤務時から割り当てがあると私のところにお鉢が回ってきていたのだが、普段のしんどい内勤とは違って野球が絡むとなれば、喜んで動員を受けていたようなところがある。
さすがに秋の日本選手権とは注目度が違うということで、動員の人数も増えた。またこれまでなら試合ごとに出る日、出なくてもいい日というのがあったが、今回は「毎試合出てほしい」ということである。
ナイターでの開催だが13時半に大正ドームに集合。ちょうど第一試合が延長戦になっているタイミング。ここで本日の説明が行われる。あらかじめ場外誘導、受付、場内誘導、場内整理・警備、応援団サポートという班割が行われているのだが、何せ初めての大阪での都市対抗、早めに集合して現場の下見を行おうというものである。
応援は内野席に陣取るのだが、入場はいつもなら外野席入口として使われているゲートからとなる。東京ドームの場合は場外のコンコースが広いのでそこで次の試合の入場待ちをすればいいのだが、大正ドームはさほど広くない。そのため、前の試合が行われている途中での入場にあっては。外野入口から入れ込みを行い、内野の上段席に誘導し、試合終了後に下段席にさらに誘導する・・・という方式であった。
またこれとは別に「来賓席」を設定するチームもあり、その人については通常の指定席入口からの入れ込みとなる。
第一試合の終了間際となり、第二試合の入れ込みが始まった。その様子を観察するが、こちらも関西のチームとあって結構な来場がある。途中、第一試合の観客との入れ替えもあり、入場を一時ストップさせる場面も。中の様子はわからないが、上段席への誘導はなく、直接下段席に入れているようである。背広姿の人、通路のそこそこで「いつもお世話になります」などのあいさつが目立つのも社会人野球ならではの光景である。中には会社の動員で仕方なく来ている、という感じの人もいるのだが、まあそれも企業人の一幕であろう。
まずはこんな感じで入場の様子を確認して、一時解散となる。スタッフ用の入場用リボンが配布されていたので私も一度入場し、ドームの風情を味わう。外野スタンドに来るのも久しぶりだ。このところオリックス戦の観戦もずっと内野エリアが続いているので。
こちらで見たのが、10年前、当時近鉄のタフィー・ローズのシーズン本塁打記録55号を記念したプレート。ちょうどこの試合、この場面をナマで観戦した者としてその時の記憶がよみがえる。ローズ55号、中村ノリの逆転サヨナラ本塁打、近鉄優勝へのマジックが1となった試合である。もうそれだけの年月が経ったのかと思う。
再び集合となり、地下駐車場に来た備品を受け取り、それを下段コンコースまで運ぶ。応援団が使用する楽器やら配布用のチアスティック、幟などもある。
第一試合が延長戦ということもあって試合開始が結構遅れるかなという予想であったが、第二試合が投手戦ということでテンポよく進んでいるようである。最初は「時間も長引いているからゆっくりでいいですよ」ということだったが、ここに来て準備のペースを上げることに。
私が割り当てられたのは外の受付班であったが、まずは来賓用受付のほうに回る。こちらは役員、あらかじめ応援をお願いしていた主要取引先の役付きの方々などが対象となる。まあ、ご本人が直接というよりはおつきの方とか、あるいは私たちの対応担当者がやって来るのだが。
第二試合もテンポよく進み、当初は「1時間以上遅れての開始になるな」というところが30分遅れでの開始ということになった。入れ替えの時間も短い。まずは来賓用受付にいたのだが、ここに来て外野の一般入口の人数を増やすことになり、そちらに走りこむ。ドームの外周に結構な数の行列ができている。まずはこの人たちをスムーズに入場させることである。チケット、メンバー表、応援用チアスティックの3点の配布となる。
そして入場開始。次々に客がやってくる。たまに知った顔、そしてわざわざ東京からやってきた人にも会うが、一言声をかけるくらいで次々にさばいていく。長い行列でしばしば入場を止めることもあり、ようやく行列が一通り入場を終えた頃にはもう試合が始まって1回の表裏の攻防も終わったところである。
入場が一段落すると受付誘導組の仕事も一段落。後は交代で休憩を取りながら、ポツポツやってくる観客の受付。仕事を終えて「どうもどうも」と言いながらやってくる人、あるいはどう見ても社員ではないが「野球ファンなので」ということでやってくる一般の人。都市対抗野球はネット裏の特別席、そして内野の一般席ともに入場料の設定があるが、内野の一般席は出場チームがあらかじめ「購入」している「チーム券」があれば誰でも無料で入ることができる。チームの側からいけば、購入したチーム券をさばいて、少しでも応援につながればというところである。
休憩の時はスタンドに入る。自チームの攻撃と時には応援団、チアリーダーの音頭でブラスバンドの大音量の応援、そしてチアスティックのバシバシいう音が響く。それがほとんど途切れることなく続く。また相手チームの攻撃の時もステージでチアリーダーのダンスが行われたり(なぜかスピーカーでAKB48の曲が流れたり)、まあ音量としてはすさまじい。よくNPB応援団の鳴り物による応援の賛否について言われることがあるが、まだ攻撃ごと、選手ごとのメリハリというのはあるし、応援と応援の間の一瞬の静寂のようなものがある。それが社会人の場合はのべつ幕なしでの応援だから、こっちのほうが結構聞いていてもしんどい。よくグラウンドの選手たちはリズムを崩すことなくプレーできるなと思う。まあ、高校、大学、社会人とこういう環境で大会を戦っているのだから、プロの応援もあんなもので慣れているのだろう。
さてその試合、さいたま代表・日本通運の対戦相手は熊本・大津町のホンダ熊本。3回にホンダが畠中のタイムリーで1点先制。5回に日通が落合のタイムリーで同点に追いつくがホンダ先発の下手投げ・山中を攻めあぐねる。そして7回にホンダが満塁と攻め立て、藤野のスクイズが本塁悪送球となり、2点を勝ち越し。さらに畠中のタイムリーで4対1となる。ホンダの得点の場面が私の休憩のタイミングといずれも重なったために余計に「やられた」という感じがした。投手交代のタイミングも一つ遅れたようにも見えた。
8回で受付の撤収を行い、9回は全員でスタンドへ。1点を追い上げるものの結局4対2での敗戦ということになった。都市対抗の連続出場は継続しているが、このところ初戦敗退が多く全国のレベルを痛感しているところであるが、また来年(今度は東京ドームになるのかな)一回り大きくなって出場してほしいところである。
この後は備品の撤収、ゴミの回収を行い、解散ということになった。予想よりこの試合の展開も早かったため、まだ時刻は21時半。ここでまだ時間もあるということでJR大正駅前へ。これまでオリックス戦でも大正駅前の居酒屋に入るということはほとんどなく、せっかくなのでどこか開拓しよう。
ということでやってきたのが、JRのガードをくぐってしばらく歩いた「多幸」。入口に小ぶりなカウンターがあり、厨房では威勢のいい大将の声が響く。こちらで試合中は(もちろん)飲めなかったビールを一息。ようやく落ち着いたという感じである。
海鮮もいろいろな種類があり。値段も割合安い。大将とかカウンターの先客とも話をしながら面白い一時を過ごすことができた。日曜日もやっているとのことで、ここは来季の観戦後のアフターで訪れてもいいなと思う。
それにしても長く感じた一日であった・・・。