まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

一乗谷と越前大野

2010年04月15日 | 旅行記D・東海北陸

11日の朝の福井は前日とは打って変わって雨で迎える。この雨で桜も散ってしまうのではないかと思わせる。

さて、当初のとおり「青春18」利用で列車で来ていれば、2日目のこの日はえちぜん鉄道やら福井鉄道に乗りながら少しずつ南に下ろうかというところだったのだが、今回はクルマでの移動。ということであれば、クルマを使っての観光移動ということにする。

前日は東尋坊に三国港という「海側」を回ったので、今回は「山側」を回ることにする。ということで、国道158号線を東へ30分ばかり走り、戦国時代の朝倉家の本拠地のあった一乗谷に到着する。

Dscn8701足羽川に流れる一乗谷川沿いにある、一見のどかな山村である。その一乗谷も400年以上前の町の様子が遺跡として良好な状態で残されていることから復原が進み、昨今の戦国ブームとも合わせてひそかな人気スポットとなっている。もう10年も前になるか、初めての越美北線乗車の時に訪れたが、一乗谷の駅から「無料」の自転車をこいで屋敷跡に出たのを覚えている。

Dscn8705雨に濡れているのが残念だが、現在の集落やかつての屋敷の跡地ではちょうど桜が見ごろとなっており、しばしそぞろ歩く。晴れていれば、その下で弁当を広げるのもオツな感じがする。

Dscn8699遺跡のシンボルにあたる朝倉館跡にある唐門。現在で見れば静かな山村だが、かつて戦乱を逃れた公家や僧侶たちも大勢住み着き、北陸有数の都市であったことを窺わせる建物である。足羽川の水運というのも町の発展には何か影響があったのかなとも思う。

Dscn8707さて、その当時の賑わいを21世紀の現代に復原させたのが、遺跡の一角にある復原町並。当時の武家屋敷、そして町家の一部を実際の遺跡の上に復原させたもので、こうやって見ると現代の作り物とは思えない景色が見られる。

Dscn8711柱の組み方、土壁など、それらがちょいと使い古されたかのようなレタリングを施されており、しばしタイムスリップを味わう。

Dscn8720武家屋敷では主人が客人を招いて将棋の最中。そして使用人が料理の準備に慌しいようである。

Dscn8718ただ、門の向こうはかつての屋敷の礎石が残るのみというところもある。これは、遺跡と復原町並の両方の姿を同時に見てもらおうということか。まあ、全部昔風に復原してしまうこともないだろう。

しばらくの城下町散策を終え、国道のほうに戻る。すると、目の前を2両の気動車が越前大野方面に向けて過ぎ去っていくのを見る。ならば、ということで進路を越前大野方面に向ける。気動車を追いかけてみたくなったということもある。

ローカル気動車ということでのんびりした交通手段のイメージがあるが、ところが気動車が走っているのを横で見ると結構早いものである。一般道を走る限りではそうやすやすと追いかけられるものではない。

ただ、クルマはほとんど信号に引っかからない中、気動車は途中の各駅に停車する。その間に抜き去り、そしてまたどこかで追い越される。そういうことを繰り返す。

Dscn8722途中、気動車が私のクルマを追い越し、その後で足羽川の鉄橋を渡るところを慌ててカメラに収める。「青春18」のシーズンが終わった次の日の日曜日の乗客は20名いないくらいに見えた。まあ普段の日曜日の朝の列車はこんなもんだろう。

Dscn8727足羽川に沿って進むうち、川沿いに何やらコンクリートの塊を見つけ停車する。近づいてみると、「福井豪雨の記憶」とある。2004年7月に発生した福井豪雨(そういえば2004年という年は台風が数多く来襲するわ、新潟県中越での大地震が起こるわ、冬は大雪に見舞われるわで、異常気象の年だったと思う)の影響で足羽川が大暴れし、越美北線の鉄橋の橋梁も流された。このモニュメントはその流された橋脚の一部ということである。福井豪雨の影響で結局越美北線は3年もの長きに渡り、不通・代替バス利用という不便を強いられることになった。

確かにこういうモニュメントを見かけて、「そういえばかなり長い間運休になっていたっけ」というのを思い出したくらいである。鉄道の安全性や「3年かけても復旧させた」くらいの鉄道の重みというものを改めて感じさせられるポイントであった。

さて、とはいうものの再び越美北線を遠くに見るところまで追い上げ、クルマは越前大野の市街地へショートカットするトンネルを抜ける。ここで結局逆転。遠くに越前大野の復原天守閣を見る。

Dscn8736せっかくなので、というより越前大野の町に降り立つのが初めてなものなので、観光駐車場にクルマを停めて、越前大野城までの山道を上がる。坂道を上がるたびに盆地の町並みが広がるのが見えてうなってしまう。

Dscn873010分ほどかけて天守閣前にでる。ちょうどこちらも桜が見ごろ。やはり「城郭と桜」というのは、どこに行っても似合う組み合わせである。

Dscn8733こちらが町並みの景色。本当、「小京都」という言葉がよく似合う景色といえるだろう・・・。

Dscn8740越前大野は水の町でもある。町のいたるところで「名水」とされる水が湧き出ており、観光客の楽しみというだけではなく、地元の人たちの生活用水として活躍している。

Dscn8739中でも有名なのは、町並み散策の中心部から少し歩いたところに湧き出ている「御清水」。一掬い飲んで、その混じりけのなさを味わう。そしてペットボトルに入れて持ち帰る。なかなか難しいが、季節のよい時などは井戸の周りで世間話・・・などということもある。

水がよいということはいい食べ物の生まれる土壌にもなる。最後に立ち寄った土産物店にて、越前大野の地酒「花垣」の瓶に、地元製造の醤油のボトルを購入する。これはまだ味わっていないのだが、それぞれどんな風味を楽しませてくれるのやら。

さて越前大野まで来たところで、この先どのようなコースで関西に戻るか。少し思い切ったコースどりを行ってみることにする・・・・。(続く)

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