まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大相撲初場所観戦

2007年01月14日 | まち歩き

P1140504大相撲初場所の中日、この日も国技館まで観戦に出かける。今日のところは午前中別用があったので、午後からの観戦である。予め指定席券(といっても上のほうの指定席Cというやつだが)を買っていたので、余裕を持って場所入りできる。実によく晴れ渡った青空に、力士たちの四股名が描かれた幟がよく映えている。

P1140521この時間ならまだ館内も空いているということで、例によって(?)荷物だけ座席に置いて、土俵近くまで入る。やはり上段の指定席に比べて、迫力あるしね。土俵溜まりや桟敷席にやや遠慮がちに座っている人は、「とりあえず席の主が来るまで」前のほうで観ようという人たちだ。ちょうど三段目の取組が行われているところだったが、やはり自分の地縁・血縁のある力士が出てくると掛け声が飛ぶ。その力士の一番を観たところで土俵溜まりを後にする人もいる。相撲の幕下以下というのは、野球でいうところのマイナーリーグと似たようなところがあるが、数少ない(7番)という機会で確実に勝つことで番付があがる。一番一番の勝負は真剣そのものだ。野球にもマイナーリーグのファンがいるように、こうした三段目力士の一番一番に熱心に声援を送る人がいる。

P1140515さて今日は中日ということで、新弟子の出世披露が行われた。今場所は幕内の優勝争いよりも、ツワモノ揃いの新弟子たちに注目が集まっていたような気がする。6人が出世披露されたが、注目は新弟子史上最重量(何と233キロ!)の「上から読んでも下から読んでも」山本山=前列中央)、高校生横綱の李(四股名の読みが一字というのは初めてとか。呼び出しや行司は呼びにくいだろうな=前列左)、そして、世界選手権無差別級チャンピオンでロシア出身の阿覧(=後列右)という、将来有望な新弟子たちである。彼らが関取に昇進するのもそう遠くない話か。そうそう、幕下にはスピード関取も間近という市原というのもいるな。

P1140528一度外に出ると、ちょうど幕内力士たちが続々と場所入りする時間ということか、多くの観客で賑わっている。今場所ここまで7戦全勝の幕内最年長35歳の玉春日や、20歳小結の稀勢の里などの姿を見る。入場口に5歳くらいの男の子がいたのだが、力士の姿を見かけるたびに「玉春日関がんばれー」「豊真将関がんばってくださーい」と、四股名と顔が一致するようでかわいい声をかけている。ちょうど、興味のあることはどんどん憶える年頃だろう(それが子どもによっては鉄道の駅名だったりクルマの種類だったりするのだ)。周りの大人のほうが「あの力士誰だっけ」ということを言っていたのが、その子の掛け声で四股名を思い出すというくらいのものだ。

さて、館内に戻ると十両の取組であり、さすがにこの頃になると、桟敷や土俵溜まりにおじゃましていた人たちは席の主が来たり、あるいは場内整理係に注意されて席を離れる。十両以上となると照明が明るくなり、まわしの色や行司の装束もカラフルになり、それとともに館内の熱気も高まってくる。そうしたファンの声援が、幕下以下とは違うレベルの高い一番を盛り上げる・・・と思いきや、立ち合いの注文相撲で歓声がため息に変わり、変化で勝った力士の中にはちょっと肩身を狭そうにしている者も。

P1140564 館内には外国人の観客も多い。もちろん日本人が多いのだが、結構本場所の興行、観客動員には外国人の力によるところが多いのかな、と変に考えてしまう。土日は確かに満員御礼だが、平日の興行はガラガラと聞いているし。外国人旅行客なら、曜日は関係ないしね。ただ、一口に外国人といってもその多くは西洋人。これだけモンゴル勢が日本の大相撲の上位にいるのに、モンゴルからとおぼしき観客はどのくらいいるのだろうかという気がする。まあ、日本人と顔つきが似ているから私が気づいていないだけなのかもしれないが。ただ、モンゴル人の収入がどのくらいあるかわからないが、モンゴルから日本に来るだけでも一大事だろう。ましてや、日本人ですら「高い」というイメージのある大相撲観戦のチケットを買おうとすれば、そう気軽に大挙してモンゴル力士をナマで応援しよう・・・というわけにはいかないか。ならば一度本当の「モンゴル場所」をやるか。

P1140558 などということを考えるうち、そのモンゴル出身の横綱・朝青龍の土俵入りも終え、ここまで来ると幕内の勝負は進行が早く感じられる。次々に力士が登場するうち、気づけば前半終了。全勝の玉春日にも熱戦の末、土がついた。中日にして全勝がいなくなるというのもあまり聞かない。

P1140590歓声が大きかったのが、安馬と琴欧洲の取組だったかな。安馬が立ち合い左に飛んで勝利を収める。

P1140598 そして結びの一番。朝青龍に稀勢の里。何と懸賞が36本。仕切り中にその垂れ幕一本一本の企業名やCFが読まれるのだが、それが長い。例えば永谷園が3本あったらそれぞれに「味ひとすじ・お茶づけ海苔の永谷園」「さけ茶づけの永谷園」「梅干茶づけの永谷園」と分けてよまないといけないし、タマホームになると「着工棟数2年連続日本一のタマホーム」「いい家建てようタマホーム」とか、NTTドコモなら「ドコモは家族を応援中」「ファミ割で家族仲良し」とか、懸賞垂れ幕ごとに言わなければならない。かといって早口にするわけにもいかず、懸賞を全て読みあげるともう「時間いっぱい」である。

P1140602熱戦が期待されたが、横綱があっさりと勝利。先ほどの懸賞は結局全て横綱の手に落ちたのであった。

これで中日を終えて1敗のトップが朝青龍、玉乃島、玉春日。2敗が千代大海、豊ノ島、高見盛。その他の大関、三役はその後方。こりゃ、今場所もあっさり横綱が優勝やな・・・・。

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気仙沼港めぐり

2007年01月14日 | 旅行記B・東北

3連休の最終日、気仙沼はよく晴れていた。

せっかくなので気仙沼の街を歩こうと思う。フロント氏に聞くと、魚市場は休みであるが、観光客向けの買い物スポット「お魚いちば」や「海鮮市場・海の市」は営業しているので、行かれてはどうかという。食事処もあり、そこならば昨夜食べられなかった海の幸に出会えるかもしれないとのことである。

P1080459 気仙沼駅は気仙沼線、大船渡線の交わる鉄道の要衝であるが、港からは山のほうに入ったところにある。てなわけで、港まで歩くと20分くらいかかる。古びた感じの商店街が続く。ただその中にも、大正か昭和初期のような昔ながらの風情を残す建物に出会ったりして、なかなか面白い。

P1080464 港に出る。落ち着いた佇まいを見せる。その名も「魚町」という一角。今は陸前大島行きのフェリー乗り場や、市営の大きな駐車場があるが、昔はここに魚市場があったそうだ。漁船がもやっているのを見て歩くうち、フロント氏の案内にあった「お魚いちば」に着く。朝8時過ぎだが開いていた。漁が休みなので鮮魚の数は少ないが、冷凍ものや加工食品はそれなりに揃っていた。そして、気仙沼と聞いて有名なのが、フカヒレ。フカヒレスープにフカヒレラーメン、フカヒレの姿煮など、市場の中で結構なウエイトを占めていた。

P1080468 その一角に「鮮」という料理屋がある。ここで朝食にしよう。というわけで、マグロの刺身に、オプションでカツオのハラス焼をつけた定食を注文。ようやく、三陸の海の幸に出会える。なかなかにボリュームがあり、うまかった。

P1080467 そして、もう一つ。そう、冬の味覚といえばカキを忘れてはならない。昨今のノロウイルスの風評被害で、カキの産地がダメージを受けているとか。宮城の松島、女川、陸前大島といったあたりは三陸のカキの本場。今回の旅の目的の一つに、「カキを必ず食す」というのがあったのだが、ここで「酢がき」に出会う。こういう時だからこそ、生に挑戦だ。粒は小ぶりだが、やはり身が締まっていてうまい。

P1080471「お魚いちば」を出て、中型の漁船が停まっている桟橋を歩く。漁船の後ろを見ると、気仙沼だけではなく、北海道の根室やら小樽やら、あるいは日本海側の高岡とか、またよく見ると静岡とか、あちらこちらの地名が記されている。漁業の仕組みはよくわからないが、いろいろな地方の漁船が潮の流れに沿って操業し、気仙沼で水揚げするものもいるのだろうか。また乗組員は漁が休みの間はどこで過ごしているのだろうか。

魚市場は果たして休みである。何かの観光写真で、この市場一面にマグロが揚げられているかと思えば、サメが並んでいる絵もみたことある。マグロはともかく、サメの水揚げとなると国内のほとんどがこの気仙沼になるそうだ。そして、この市場に接して、「海鮮市場・海の市」がある。ここも海産物や加工食品などの土産物屋が林立し、観光バスなんかも横付けされて賑わっている。

P1080478 その一角で、生簀にこれでもかとカキやホタテが入れられている。それにしても殻が大きい。やはりこれを食べたい。

「持ち帰り?宅配?3日以内ならナマで食べられるよ」という店の親父に、「ここで食べさせてもらってもいい?」と尋ねた。一瞬ひるんだような顔をしたが、「保健所がうるさいんだけどなー。うーん、でもいいや、内緒で食べさせてあげるよ」と、カキをつまみあげて、ナイフを入れてくれる。「レモンは?」「一応かけてください。(・・・ってすぐ後ろにレモン汁のボトルがあるやん。結構ここで食べる人、いるんだろうな)」ということで差し出された、三陸のカキ。これをナマでいってしまう。

P1080477 先ほどの酢ガキで満足したのは早計だったかな。やはりこれが自然の風味だろう。本当、こういう時期だからこそ味わってほしいものである。

仙台で牛タン、女川でクジラ、そして気仙沼でカキ。今回の旅の目的は大いに果たすことができた。

さて、この「海の市」には二つの面白ミュージアムがある。まず一つが「氷の水族館」。よくわかったようなわからないような名前である。入口に行くと、コートで重装備のその上にもう一枚コートを羽織らされる。それで入口のボタンを押し、中に入ると・・・・そこは氷点下20度の世界。

P1080482 で、その「氷の世界」で目にしたものは、何と氷漬けにされた魚の数々。気仙沼のサンマに始まり、タイやらタラバガニ、マンボウなんてのも氷漬け。普通、水族館といえば水槽の中を魚が優雅に「泳ぎまわっている」ものだが、ここでは氷の中で静止画像のようになっている。何だかとんでもないものを見ているようだ。どうすればここまできれいに氷に閉じ込めることができるのだろう。見ていて不思議なスポットである。出口ではペンギンも閉じ込められていた・・・、あ、これは模型か。

P1080483 もう一つ、フカヒレの街・気仙沼を象徴するかのような「リアスシャークミュージアム」である。いきなりサメの中で最も恐ろしいとされるホホジロザメの剥製が口を開けて、見学者に喰らいつこうとしているのに出会う。サメの足下には、捕獲されたサメの胃袋から見つかったという牛の頭蓋骨やウミガメの頭などが転がり、人が襲われた事故の記録などが迫ってくる。やはり人喰いサメ、映画「ジョーズ」の世界そのものだ。

と、思ったところで、「しかーし」である。

「地球上でサメは390種類いますが、人を襲ったりするのはほんのごく一部です。皆さんサメに対して余計な恐怖心や誤解を持っているのではないでしょうか。このミュージアムでは、サメの持つ超能力や隠された生態を紹介することで、海の生態系の頂点に立つサメのことをもっとよく知ってもらおうというものです」というような内容の展示がこれに続くのである。一口にサメといってもいろいろな種類があり、卵生もあれば胎生もいたり、肉食もいればプランクトンを食っているのもいる。サメと海の生態系について面白く展示しているミュージアムである。

P1080486 最後に、海の生態系の頂点にサメがいて、それで終わりかと思いきや、「しかし、本当に恐ろしいのはサメではなく、人間なのかもしれません」というのがあった。なるほど、文明の発達とやらで、海の生態系そのものに大きな影響を及ぼしており、だから、海洋資源の活用と保護のバランスを考えなければということか。なるほど、話の筋が一本通ってますな。で、サメについての学習をした後で、早い昼食でフカヒレラーメンを食する。これで、気仙沼の港めぐりも無事終了。

P1080492「爆弾低気圧」の影響で今日も風が強く、気仙沼線の列車にも前日ほどではなかったが遅れが出た。昨日は暗くなったので見えなかったが、強風の区間はきれいな海岸であった。あとはこのまま列車を乗り継いで東京に戻るだけだ。

なかなか印象に残る、今回の港めぐりだった。(終わり)

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