ホットロック/ピーター・イエーツ監督
雑誌で中野翠が紹介していて、「アフガニスタン・バナナスタンド」という言葉が出てくることが書いてあった。この言葉はよく覚えていて、子供の頃に暗記したまま頭の片隅にあったことを思い出した。思い出したが映画の内容まではよく思い出せない。それで再度借りてきてみたという訳だ。
内容は、依頼があって博物館から高価なダイヤを盗み出す泥棒団だったが、失敗して一人は捕まり、その時にダイヤを自分で呑み込んでしまう。仕方ないので脱獄させる訳だが、何とか脱獄は成功するものの、ダイヤは警察の拘留所の時に隠していたらしい(要するにその時のウンチで出たということだろう)。仕方ないのでヘリコプターで警察署の屋上からクーデターのように騒ぎを起こして侵入するが、何故か隠したはずの場所のダイヤが無い。何者かが秘密を知って先に横取りしたらしいのだが…。
見事な計画性と実行力がありながら、惜しいところでダイヤが手に入らない。スリルとサスペンスが続く中、どこか間抜けな気の抜けるようなギャグというか、残念な感じがコメディとしての底辺にある。皆悪人なのだが、その悪行の為に知恵を絞って、最大限努力を惜しまず、そうしてしぶとく諦めない。普通の映画なら、その一つのトリックだけで一本作品がつくられるくらいのアイディアが満載である。贅沢と言えばそうだけど、ちょっと大仰なところもあって、アメリカって凄いな、と笑わせられる。ものすごく頭が良くて馬鹿なのだ。
問題の「アフガニスタン」の呪文のところで、やっと過去の記憶がよみがえった。僕はまだ小学生だったと思うのだが、テレビでこの映画が放映されていたのだ。翌日何人かの友人は、やはり「アフガニスタン」の言葉を知っていた。その後学校で静かな催眠術ブームがあったはずだが、当然誰も催眠術など使えるようにはならなかった。
現在となると、やはりこんな映画は作られにくくなっているような気がして残念な気もする。面白いので是非観て欲しい映画の一つである。