カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

第十七捕虜収容所

2011-09-23 | 映画
第十七捕虜収容所/ビリー・ワイルダー監督

 始まってすぐに脱走劇だとは分かるのだが、段々とスパイ劇になっていく。いけすかないように見える奴が実は主人公であるようで、なかなかのひねりである。捕虜なので虐げられた生活ではあるが、しかし日本の戦時中よりはよっぽど自由である。そこのあたりはあんまりリアリティは無いのだけれど、狭い社会を映画として楽しみながら見せるという工夫としてはやはり見事な娯楽作と言えると思う。ひとことでいって上手いのである。最終的には結構偏見もあるのだけど、それなりのカタルシスのある物語であった。
 脱走劇というのはよく作られるジャンルだと思うが、普通は苦労を重ねて成し遂げるというのが普通であって、このような行き当たりばったりのように見えて、しかし見事などんでん返しというやり方はアメリカ的だとも言えるのではないか。そういうしたたかだけどしてやったりの開放感というのが、大団円として見事なのである。もっともよく考えてみるとこれが多くの人のしあわせで無いところが、やはりアメリカ的なエゴだろうか。頭のいいやつが抜け目なく生き延びて、そして尊敬も受ける。日本社会には生まれえないヒーローを生む土壌のようなものが、考え方の基本にあるということではあるまいか。
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