カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

寄席見物

2009-03-05 | 散歩
 飛行機の時間まで間があり、しばし何をするか迷う。東京駅の丸善で本など物色した後、壁にかかっているゲルニカを眺めながらボーっとしていると、なんとなく映画でも観るかという気分になった。イーストウッドがいいかもとは思ったが、時間的に映画を観てもまだ余裕がありそうだった。そのまま余韻に浸りながら散歩するようなことでもいいかもしれない。比較的近くの銀座にも映画館は多そうだし、上野に行っても選択肢は多い。安全に品川でもよかったのだが、一番遠い新宿を選択してしまう。そういうところは僕の性格らしい。
http://www.suehirotei.com/
 そうして新宿駅を降りてブラブラ映画館を探していると、末広通りという落語家の姿をかたどった看板が目に留まる。子供の頃から末広亭とかイリノイホールからの中継でしか落語を見ることができなかったことを思うと、猛烈に引き寄せられるものを感じた。そのまま演芸場の前まで歩いてゆき、いつの間にかチケットを手にして入場してしまったのだった。落語だけでなく漫才や曲芸とか小唄などの演目もあり、ガラガラでもぎゅうぎゅうでもない会場の中で、さまざまな笑いを堪能したのだった。失礼ながらまったく知った芸人さんはいなかったのだけれど、定番の「時そば(それにしても旨そうに食うもんである)」なんかの演目があったりして、非常に心地よい時間を過ごした。そうしてやっとなんとなく思いだすことがあって、僕は子供の頃にここに連れられてきたことがあるようにも感じた。いや、末広亭だったかどうかは不明だが、父親に連れられて落語見物したことがあるようだ。その時は分かりもしないから、ものすごく詰まらなかったような、覚えていないからはっきりしないが、そんなような気分までなんとなく思いだすのだった。江戸時代の演芸がこうして今でも残っていて、時代の変遷があるにせよ、変わらないように楽しんでいるということも含めて、しあわせな時間であった。そういえば漱石などもよく寄席には通ったというし、江戸というか明治の雰囲気もあるかもしれないなどとも思ったりした。この演芸場のこじんまりした木造の作りは、そういう空気もひょっとすると伝えているのではないかなどと勝手に感心したのだった。まあ、たんなる勘違いかもしれないけれど…。
 いつの間に散歩する余裕はなくなって、あわてて飛行場へ急ぐことにはなったにせよ、寄席にはまた行きたいと思ったのだった。
コメント
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