帯広で漫画喫茶にはじめて入ったせいなのか分からないが、なんとなく漫画づいてきて、少しだけ漫画本を買ってみた。現在話題の本というとピントはずれているけれど、これは確かに読んでも面白いというお勧めができたので紹介しよう。
アポロの歌/手塚治虫著(集英社文庫)
これは最近米国で翻訳されて話題になっているらしい。こういう書き方をするとなんだか喜んでいるようだけれど、こういう暗い設定の漫画というものが米国にはないらしくて、驚きをもって迎えられているということだ。中には漫画なのに内容が深いなどといまさら猫が聞いても驚くようなトンマな感想を持つ人もいるらしい。
まあ、しかしどんなに暗いものだろうと興味がわいて読んでみると、手塚作品の重っくるしい濃厚な味は確かに味わえるが、比較的軽く読める。普通の人は味わったことがあるだろう恋愛について考えさせられ、切なくもなる。いや、このタイミングで再評価もいいと思う。比較的地味な扱いを受けている作品ではないかと思うので、改めて多くの人が読んでもいいのではないかと思わされた。設定は複雑だし人がいっぱい死ぬので、イラチの人には向かないかもしれない。しかし、やはり傑作である。
幻想世界への旅/水木しげる著(ちくま文庫)
これは「テレビくん」を見たくて買った。水木ファンなら有名だが、貸本から漫画雑誌に替わるきっかけとなった作品だ。妙な味はさすがにあって、なるほどと感心してしまう。本当に読むことができてよかったと思った。
短編集であるが、夢オチであるとか、同じ話の焼き増しであるとかもあるのだが、水木しげるの持ち味である不思議なとぼけた味が健在で、ものすごく面白い。理屈や道理はなんとなく通っていないところもあるのだが、水木さんならいいのである。つまらない空想ごとが、水木さんにかかるとどうしてコウも面白い話になってしまうのだろう。本当に不思議な人もいたものだと思う。
また、すこぶる面白いというのでは、
悪魔くん千年王国/水木しげる著(ちくま文庫)
をあげる。平和を成し遂げるにはどうしたらいいのか、ということを変な方法で成し遂げようとする悪魔くん。最初からどんどん怪しいが、いつの間にか誰がいいのか悪いのかさえ分からなくなる。凄すぎる名作だと思った。
ぼくとフリオと校庭で/諸星大二郎著(双葉文庫)
これは僕はファンなので読まなければならない。相変わらず変な話が多くて、変な気分になる。妙に絵も重いのが諸星の特徴で、この短編集の話たちにはよくあっている。なんとなく嫌な後味があるのだけれど、この味をしめたら中毒になりかねない。いや、既に僕は中毒で、ファンなのだ。諸星こそ恐らく諸外国に紹介されるべき偉大な作家だと思うが、翻訳があるものだろうか。読ませてみたい気がするが、漫画が子供のものだと思っている人には、少なからずショックが大きいかもしれない。
PINK/岡崎京子著(マガジンハウス)
これは名作らしいという噂の高いものだ。率直に言って、確かにかなりの名作であった。僕はなんとなく村上龍を思い出したが、岡崎も読んでいるのではないかと思った。
女が性のことをどのように考えているのかは、どういうわけだか男にはよく分からない問題なのだが、このように考えているらしいことは、それなりに驚きである。まあ、個人の考えることはどこまでも自由なので、女が考えるということではたぶん違うのかもしれないが、勝手に大変勉強になりました。しょっちゅうエッチをしているけれど、不思議なくらいまったくいやらしくない。女という生物は不思議なものだと思わせる力を岡崎は持っているということである。
カリスマ育児/榎本俊二著(秋田書店)
冷めたギャグ満載で、声を出して笑えたわけではないけれど、けっこう笑えた。しかし子育てという大変さが良く分かる上に勉強になる。いろいろヒューマンに語れないホンネが見えて、すばらしい作品ではないかと思われた。どうこう理屈をたれようと子供は現実で、今そこにある事実だ。説教がましく言うと、子育ては親も育てていくことが良く分かる。大人は子供がいなければ、やはりそれなりに子供なのである。
雪の峠・剣の舞/岩明均著(アフタヌーンKC)
骨の音/岩明均著(講談社)
へウレーカ/岩明均著(白泉社)
なんとなくとぼけていたい気分がこの作者にはあるらしい。恋愛を描くのも比較的下手である。しかしながら重い恋愛も描いていて、納得もさせられる。重たいテーマもショッキングに描きながら、どこか乾いた印象も残る。僕はこの人の作品は長いものしか知らなかったので、短編が読めてよかったと思った。もともとセンスがいい人なんだということが、一つ一つの作品から見て取れる。それでいてまだ未完成という感じも残しているので、僕は期待をしているのである。
アポロの歌/手塚治虫著(集英社文庫)
これは最近米国で翻訳されて話題になっているらしい。こういう書き方をするとなんだか喜んでいるようだけれど、こういう暗い設定の漫画というものが米国にはないらしくて、驚きをもって迎えられているということだ。中には漫画なのに内容が深いなどといまさら猫が聞いても驚くようなトンマな感想を持つ人もいるらしい。
まあ、しかしどんなに暗いものだろうと興味がわいて読んでみると、手塚作品の重っくるしい濃厚な味は確かに味わえるが、比較的軽く読める。普通の人は味わったことがあるだろう恋愛について考えさせられ、切なくもなる。いや、このタイミングで再評価もいいと思う。比較的地味な扱いを受けている作品ではないかと思うので、改めて多くの人が読んでもいいのではないかと思わされた。設定は複雑だし人がいっぱい死ぬので、イラチの人には向かないかもしれない。しかし、やはり傑作である。
幻想世界への旅/水木しげる著(ちくま文庫)
これは「テレビくん」を見たくて買った。水木ファンなら有名だが、貸本から漫画雑誌に替わるきっかけとなった作品だ。妙な味はさすがにあって、なるほどと感心してしまう。本当に読むことができてよかったと思った。
短編集であるが、夢オチであるとか、同じ話の焼き増しであるとかもあるのだが、水木しげるの持ち味である不思議なとぼけた味が健在で、ものすごく面白い。理屈や道理はなんとなく通っていないところもあるのだが、水木さんならいいのである。つまらない空想ごとが、水木さんにかかるとどうしてコウも面白い話になってしまうのだろう。本当に不思議な人もいたものだと思う。
また、すこぶる面白いというのでは、
悪魔くん千年王国/水木しげる著(ちくま文庫)
をあげる。平和を成し遂げるにはどうしたらいいのか、ということを変な方法で成し遂げようとする悪魔くん。最初からどんどん怪しいが、いつの間にか誰がいいのか悪いのかさえ分からなくなる。凄すぎる名作だと思った。
ぼくとフリオと校庭で/諸星大二郎著(双葉文庫)
これは僕はファンなので読まなければならない。相変わらず変な話が多くて、変な気分になる。妙に絵も重いのが諸星の特徴で、この短編集の話たちにはよくあっている。なんとなく嫌な後味があるのだけれど、この味をしめたら中毒になりかねない。いや、既に僕は中毒で、ファンなのだ。諸星こそ恐らく諸外国に紹介されるべき偉大な作家だと思うが、翻訳があるものだろうか。読ませてみたい気がするが、漫画が子供のものだと思っている人には、少なからずショックが大きいかもしれない。
PINK/岡崎京子著(マガジンハウス)
これは名作らしいという噂の高いものだ。率直に言って、確かにかなりの名作であった。僕はなんとなく村上龍を思い出したが、岡崎も読んでいるのではないかと思った。
女が性のことをどのように考えているのかは、どういうわけだか男にはよく分からない問題なのだが、このように考えているらしいことは、それなりに驚きである。まあ、個人の考えることはどこまでも自由なので、女が考えるということではたぶん違うのかもしれないが、勝手に大変勉強になりました。しょっちゅうエッチをしているけれど、不思議なくらいまったくいやらしくない。女という生物は不思議なものだと思わせる力を岡崎は持っているということである。
カリスマ育児/榎本俊二著(秋田書店)
冷めたギャグ満載で、声を出して笑えたわけではないけれど、けっこう笑えた。しかし子育てという大変さが良く分かる上に勉強になる。いろいろヒューマンに語れないホンネが見えて、すばらしい作品ではないかと思われた。どうこう理屈をたれようと子供は現実で、今そこにある事実だ。説教がましく言うと、子育ては親も育てていくことが良く分かる。大人は子供がいなければ、やはりそれなりに子供なのである。
雪の峠・剣の舞/岩明均著(アフタヌーンKC)
骨の音/岩明均著(講談社)
へウレーカ/岩明均著(白泉社)
なんとなくとぼけていたい気分がこの作者にはあるらしい。恋愛を描くのも比較的下手である。しかしながら重い恋愛も描いていて、納得もさせられる。重たいテーマもショッキングに描きながら、どこか乾いた印象も残る。僕はこの人の作品は長いものしか知らなかったので、短編が読めてよかったと思った。もともとセンスがいい人なんだということが、一つ一つの作品から見て取れる。それでいてまだ未完成という感じも残しているので、僕は期待をしているのである。