カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

いつまでもデブと思うなよ

2007-10-13 | 読書
いつまでもデブと思うなよ/岡田斗司夫著(新潮新書)

 新書は割合手に取るほうなので、中にはビジネス書といわれるものもつい読んでしまうことがある。好きずきなのでビジネス書自体がどうだというのは特に感想は無いが、時々読みはするくせに、これが役に立つ分野なのかというと、多くの場合は疑問がある。
 それにははっきりした原因がある。僕は娯楽で読んでいるのでそれでいいけれど、これが勉強のためであるなら、ちょっと目的が違うためではないだろうか。
 自己啓蒙書という分野もあって、それはそれでいい。好きな人は読めばいいと思う。
 今は、多くのビジネス書がおそらく内容として書いてあると暗示しているお金の儲け方についてのビジネス書について思うことだ。これはぜったいに役に立たないとは確かにいえないのだけれど、ほとんど役に立たない。お金を儲けたいという欲望があることは自然なので別にいいけれど、じゃあその方法がある、という話はやっぱり駄目なんじゃないかということだ。
 お金儲けには確かに方法はあるだろう。しかしそれはシンプルに働くことで結果が出るかどうかということである。そういう意味ではどうしたら、ということなど本来関係ないことがわかる。やり方はほぼ無限だからだ。
 もう少し、自分のどうして儲けたいかを考えるべきではないか、と思う。あえて違うと言い切る人もいるかもしれないが、多くの場合、お金を得たいのは幸福の手段としてではないか。お金があるだけでしあわせという人ももちろんいるだろうが、現代社会において、しあわせが何かということはあんがいイメージとして難しくなっている。好きにお金がふんだんに使えるというイメージのみが、本当に幸福だと思っている人は、おそらく考えが甘い。お金を持っているだけの状態は、実はまだ幸福なのではない。自分にとっての幸福が何であって、そのどの分部にお金が要るのか、もう少し深く考えて見るべきだろう。
 ものすごく単純に言うと、実はそれがわかると自分のビジネススタイルは出来上がるといってよい。大切なのはお金を得る目的が、自分にとって何なのかということが最重要だと気付くことだ。方法は後から考えるべきことだ。ビジネス書には、その目的を探すことはほとんど書いてない(当たり前だが)。書いてあるのは方法である。つまり何のビジネス書を読むにせよ、自分の目的意識が無ければ、結局は役立たない。その上、変に方法をたくさん知ることは、自分の目的自体を探しにくく妨害する場合も多い。その点にもっと注意をはらったほうがいい。
 最近の本では、断然「いつまでもデブと思うなよ/岡田斗司夫著(新潮新書)」がお勧めである。ダイエット本の体裁をとっているが、これはビジネス書として読まれたほうが効果的だ。
 ネタばれであるが、内容としては、食べたものを記録するだけのレコーディング・ダイエットの実施方法と実践記録だ。まさに感動的な内容で、僕も実践して着実に効果を実感している。
 告白すると、もっと早くに紹介しようとは思っていたが、やはりダイエット本として読んだために、自分自身の結果が出てから書評を書こうと思ったのだった。まあ、ある程度は確かに自分自身も痩せてきたのだけれど、この何故痩せるか、という前段階が、何より重要だったことが今になってみるとしみじみわかる。そして実践しながら、この本の本当の内容がわかってきたのである。そして考えが変わった。いや、確かにこれはビジネス書であると著者自身も書いてはいる。しかし、まあ、応用が利く程度にしか考えていなかった。ところが食べたものを細かく記録するとだんだんと真髄が見えてきて、確かに自分をマネージメントすることと、ビジネスということはまったく同じだということがよくわかるのである。
 答えをいうと、それは単純に、「現実を見る」こと。これに尽きる。
 多くの人は現実が見えていない。その見えていないことを知らないのである。その発見のためにこの本はある。だから、この本は何度も最初は「記録するだけ」と強調している。まだ痩せていない、その状態の方が重要だったと何度も何度も書いている。この本の意味は、そこにあるのだ。人間が現実を見ないということを、ここまで現実に理解させたということで、この本の価値は非常に高いと思われる。多くのビジネス書が到達できなかったお金儲けの真理が、ここには書かれている。
 著者はただのオタクではない。リアリストにして、偉大な経営者だ。この本が勘違いにしても読まれることで、次のお金儲けの道が無限に開かれていくのではないか。もちろん、ちゃんと現実が見えた人だけの特権であることはいうまでも無いが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする