荒野の決闘 (My Darling Clementine) についてさらに一言
この映画で気になっていたことがありました。 最後のほうで いよいよアープがクラントン一家との対決に赴こうとする保安官事務所の場面で、協力を申し出た2人(町長と市民)にショットガンを渡すんですが、何故か弾を抜き取って渡します。今から銃撃戦に臨むというのになぜ空のショットガンを持たせるんだろう・・・というのが映画を見た時は最初わかりませんでしたが、レーザーディスクの解説を見て初めて”なるほど”・・・と納得できたということがありました。宇田川幸洋さんの解説によると、一種の戦術を使ったもので、アープと空のショットガンを持った正面の2人はおとりの役目をして、弟モーガン、ドク・ホリデイが素早く側面に移動して攻撃する・・・・というんですね・・・そういえば老クラントンが一瞬動揺するような素振りをみせるところがあったように思いますが・・・こんな風に見てくると結構面白い要素がいっぱい入っているんですね。なんでも、フォード監督は太平洋戦争で記録撮影のため従軍したことがあるのでそのような戦術的なことも体験していてそれを映画にも生かしたのではないか・・・とのことです。
もうひとつ、この映画ではもう全くといっていいほど余計な音楽が使われていないのも特徴です。喧騒な酒場での楽士達が奏でる音楽と、ホンキートンク ピアノのほかは町の人たちがフィドル(ヴァイオリン)のホーダウン演奏に合わせて踊るダンスの場面くらいで、そのことが「荒野の決闘」が物静かな詩情をたたえた映画だ・・・との印象につながっていると思いますし、なんだか落ち着いた気分で見ることが出来る要因にもなっている気がします。
ところで、冒頭の牛追いのシーン、アープ4兄弟は皆馬に乗っていますが、そのあとの食事のシーンではチャックワゴンがあります。このワゴンは何処から来たのだなんて話もあります(苦笑)。