「ユー・アー・マイ・サンシャイン物語」/ アメリカ南部の音楽と政治
三井 徹(筑摩書房 1989年発刊)
この(令和2年5月)ゴールデンウィークの最中にCD、レコード、カセット、ビデオ、本の大整理をした。散在しているものをまとめて探し出しやすいようにした。数十年来の大整理で出てきた本のなかで目に付いたのが今回の本。
カントリー&ウェスタンの曲の中で誰れでも知っている有名な曲は何かなぁ・・・と考えた時、私は ” テネシー・ワルツ ” と ” You Are My Sunshine ” ではないかなと思っています。ひょっとしてこの2曲とも Country & Western の曲だとは意識しないで知っているという人の方が多いかもしれない。 じゃ、どっちの方がより知られているかな・・・となると ” You Are My Sunshine ” に軍配が上がるかも。
というわけで今回は1989()年に発売された本を取り上げてみました。買ったもののざっと拾い読みだけにしていたもので、この連休中に通しで詳しく読み返してみました。この曲を歌って政治活動を展開しルイジアナ州の知事(2回選出されている)にまで出世したという往年のカントリー歌手ジミー・デイヴィス(1899~2000 ルイジアナ州出身)の話を絡めての物語・・・三井 徹さん自らルイジアナに出向いてまだ存命していたジミーにインタビューしたり関係筋に手紙で問い合わせをしたりしてまとめ上げたという実録篇でもあります。
カントリー歌手としての Jimmie Davis のことだけではなくてジミーを通してアメリカ南部ルイジアナ州の風土、政治他などのほかカントリー・ミュージックと政治など一般的なことまで述べている稀な本でもあります。
ジミー・デイヴィスといえば ” You Are My Sunshine ” のほか ” Nobody's Darling But Mine ” とか ” There's a New Moon Over My Shoulder(肩にかかる月)”、” Where The Old Red River Flow ” などの曲が比較的知られている人です。とはいってもどっちかというと Sacred Song 、Gospel など宗教的な歌の方が多くてLPレコードも大半がその方面のものになっています。
駆け出しのころはかのブルーヨーデルで有名な Jimmie Rodgers と何年かは活動期が重なっていてジミー・ロジャースそっくりの歌の時代があった・・・というくらいなのでかなり昔の人ということで日本ではめったに話題になるほどのカントリー歌手ではありません。
” You Are My Sunshine ” の作者がジミー・デイヴィスと彼のバンドのスチール・ギター奏者チャールス・ミッチェルと言われているんですが 三井さんによると実のところはジミーよりも古く録音したグループがいくつかあって 結局 J・デイヴィスが ” You Are My Sunshine ” の版権を買って自分が作ったようにしたということが判っているということが真相だとのことです。 こんなことは昔のアメリカのカントリー界ではよくあったことで、その辺の事情も含めて述べられているのでなるほどなぁと理解できて面白く読めました。
ちなみに、ジミー・デイヴィス自身は ” You Are My Sunshine " を何度も録音しているようで、歌だけで通しているもの、途中に語りを入れているものなどがあります。作者の件についてはタブーになっているのかもしれないですが、たとえ作者がジミー・デイヴィスではないにしてもこの曲を世界的に有名にしたのは彼の功績だと言えるでしょう。
現在読み進めている東 理夫さんの ” アメリカは歌う ”に触発されて読み返してみた ” ュー・アー・マイ・サンシャイン物語 ” でしたが、とても良かった。