西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

懐かしのカントリー&ウェスタン 92 [ マール・ハガード (1) ]

2009年05月25日 | ボブ・ウィルスを歌う
Merle Haggard (1) 
米国盤 Capitol Records SN-16279 A Tribute To The Best Damn Fiddle Player In The World

(1)Brown Skinned Gal (2)Right Or Wrong (3)Brain Cloudy Blues (4)Stay All Night (Stay A Little Longer) (5)Misery (6)Time Changes Everything (7)San Antonio Rose (8)I Knew The Moment I Lost You (9)Roly Poly (10)Old Fashioned Love (11)Corrine Corrina (12)Take Me Back To Tulsa


マール・ハガードが偉大な ”Western Swingの王者” ボブ・ウィルス(1905~1975年テキサス州出身)に捧げたレコードです(私のは再発盤)。
タイトルにある The Best Damn Fiddle Player の”Damn”という表現は調べてみると「チクショウとか忌まわしいとかの怒り、いらだち、軽蔑、落胆などの意を表すが 非常に乱暴な表現なので避けるほうがよい」・・・・・となっていました。でもここではBest の後に使っているのできっと ”こいつはまた凄い fiddle player (Bob Willsのこと)だなぁ、まいった!驚いた!!”とかの強調する意味で使っているんでしょうね。

1937(昭和12)年生まれのマールと1905(明治38)年生まれのボブでは親子ほどの開きがあって音楽的な接点は全く無いのでは・・・・・と私は思っているのですが、このアルバムといい彼の「ジミー・ロジャースを歌う」アルバムといい 時代は異なっても一流カントリー歌手として一種の矜持(きょうじ:自分の能力を信じて抱く誇りとかプライド)を保ちたいという気持ちと伝統への敬意を表わしたいという意味があったのではないかと想像します。 演奏にはマールのバンド THE STRANGERS とボブのTEXAS PLAYBOYS のOB達数人が参加していてマールもフィドル(バイオリン)を弾いたりしてはしゃいでいる感じで楽しみながら作ったようなアルバムになっています。
以下は彼自身が書いている長い解説の概略です
・・・・・・「ボブ・ウィルスは Western Swing という音楽の型を作った一人で、稀代のエンターテイナーでした。Wesern Swing はDixieland blues や1930~40年代の modern dance fiddle style sound や ジミー・ロジャースような vocal mannerism の複合したものと考えてよいでしょう。ボブは50年以上にわたって国中を演奏旅行し、ラジオ、映画、レコード等で活躍しましたが、私は疑いなくmost well-known and creative fiddle player でもあると思っています。
ボブのキャリアは1920年代に始まっていますが、本領を発揮し始めたのは1934年にオクラホマ州タルサで The Texas Playboys を結成してからです・・・・(略)・・・・私は12才の息子に”Bob Wills て誰なの?”と尋ねられた時一言では答えられなくて、ボブ・ウィルスの音楽について全く知らない今の若い人達に説明できない私自身が申し訳ないような気持ちを持ったのです・・・・・私はかってジミー・ロジャースを歌うアルバムを出しましたが、ボブ・ウィルスのアルバムも”Once a good sound, always a good sound; or once a hit, always a hit”という同じ理由からです。
このレコードを作る際には多くの難題がありました、Bob Wills のユニークなサウンドをどうしたらリアルに再現できるだろうか・・・・ということでした。Roy Nichols(The Strangers のリードギター奏者)や Norman Hamlet(同じくスティールギター奏者)や他のメンバーと何ヶ月も話し合った結果、何人かのTexas PlayboysのOBに参加してもらわないと再現できない-という結論に達したのでした。そうすることはもう鳥肌が立つ思いでしたが 何人かの元テキサス・プレイボーイズのメンバーが快く参加を引き受けてくれたのです。1970年4月6日( くしくも私=Merlの誕生日でした )に The Texas Playboys が再結成されたという訳なんですね。
Johnny Gimble (フィドル)、Tiny Moore(マンドリン)、 Eldon Shamblin (ギター)、Johnnie Lee Wills(ボブ・ウィルスの弟)、 Gordon Terry(フィドル)らOBと私のバンドThe Srangers のメンバーがほとんどリハーサルも無しに3日間のレコーディング セッションに臨んだのです。この3日間はもう人生最大の楽しい時間でした、最後の曲”Misery”を録音し終えた時、私をはじめ皆の目に涙が溢れていました・・・・・・このアルバムが新しい世代にはBob Wills & The Texas Playboys の偉大な音楽を知るきっかけになること、昔を知る人達には想い出を甦えらしてしてくれるものになればと願っています。」・・・・・・・と。

音的にはアップテンポの典型的 Western Swing のウキウキサウンドは(2)Right Or Wrong、(4)Stay All Night、(6)Time Changes Everything、(7)San Antonio Rose、(9)Roly Poly、(10)Old Fashioned Love、(11)Corrine Corrine、(12)Take Me Back To Tulsa で全般に 調子の良いフィドルやピアノ、スティールギター,時折り管楽器をフューチャーしたもので楽しく、マールも掛け声を入れたり合間に奏者を紹介したりしています。(3)Brain Cloudy Blues はブルース調のスローテンポ曲でJ.ギンブルのフィドルにのってマールのブルース調の歌もなかなかのもの。(5)Misery はスローなムードいっぱいの曲でボブ・ウィルスの隠れた名曲かな・・・・・マールもフィドルを弾いているようですが・・・。    どの曲も素晴らしいですが、僕自身は(5)Misery と(6)Time Changes Everything(時ふれば)、(10)Old Fashioned Love がよかったと思っています。尚、マールはもっとボブの名曲を採り上げたかったらしく、その旨を追記として書いています。
ジミー・ロジャースよりもこのボブ・ウィルスを歌うアルバムこそ2枚組だったらよかったのにと思います(私感)・・・・・ともあれ、こうした伝説のカントリー歌手についての Tribute Album を出せるような人はマール・ハガードが最後のような気がしています。
CDとして出ているかも知れませんが・・・・??
コメント
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