梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

「やる気」について(その2)

2013年12月21日 06時12分23秒 | Weblog
長年営んできた会社を廃業せざるを得ない理由は、色々と考えられます。ここ数年で、わが社の取引先でも廃業した会社は、決して少なくはありません。また、ごく近い将来廃業を想定して動いている会社も、実のところ存在しています。

経営者の高齢化や健康問題、その中で後継者が不在、将来の仕事について裏付けが無い、機械設備が老朽化している、でも新たな設備投資は避けたい、事業そのものの採算が取れない。その様な理由が、経営者が廃業をするに至った主なものになっています。

この廃業が、破綻や倒産とは決定的に違う点は、廃業は経営者が自らの意志で決めることです。将来債務不履行になる可能性がある、極力他人に被害を及ぼさない前に、自力で商売を止めることです。つまり清算出来る体力がある内にとの判断です。

今までの蓄えがあるから、または不動産の収入があるから、その後のお金の保証が何とかあるから、廃業に踏み切れる。今までの廃業された、60歳を過ぎた経営者が、背景としてその様に語っていたことも事実です。

それは、長年努力を積み重ねた結果によるものです。また廃業をする選択肢は、その方ご自身の老後を考える、生き方や尊厳にかかわる問題です。私が過去接した経営者の方々を見る限り、やる気を失ってしまい廃業に至るとは一概には言い切れません。

しかしながら、当面仕事をしなくてもお金の保証があると言うことは、これから更に苦労をするならば、事業欲を喪失して、無意識にやる気を失ってしまう。そのように、すり替わってしまう落とし穴は在るのかもしれません。

一方で、私が接した廃業する会社の経営者よりもはるかに高齢で、廃業した会社よりも恵まれていない状況の中でも、努力を積み重ねている経営者の方もいらっしゃいます。現在されている仕事に、生き甲斐と使命を感じている方です。

先のお好み焼き屋さんのご主人のように、直接の本当の理由はともかく、廃業する前からやる気を失っている人もいる訳です。開店当時は苦労したでしょうが、結果的には固定客も増えて、閉店するのは残念に思っているお客の、私は一人です。

同じような年齢の自分自身に置き換えて、自分への戒めも含めて、やる気の大事さを再認識しています。
コメント
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