梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

わが社の60周年(その5)

2013年12月07日 12時50分40秒 | Weblog

創立60周年を機に、長年倉庫の片隅で保管していたものを、モニュメントとして制作して、わが社屋の前面に設置しました。これは、私の祖父梶次三郎が戦前に墨田区で鉄鋼業を営んでいた時の、剪断機械のフライホイールです。

しかしこのシャーリング業は戦争の激化によって、昭和16年には休業を余儀なくされ、工場ごと同業者に売却します。この際に、剪断機も第三者の手に渡ります。

昭和27年、先代梶哲がスケールで再創業し、その後わが社はスクラップへと事業展開をします。昭和57年にスクラップで買い付けた中に、このフライホイールが、なんと偶然にあったのです。先代はその大きさや数か所の傷を見て、間違いなく「梶シャーリング」のものであると大喜びし、この奇跡に驚愕しました。手放してから約40年が経過して、わが社に戻って来たことになります。

前出の記念誌は業務課長に、このモニュメントは工場長が、それぞれ制作の担当責任者として携わりました。全ての制作を終えた二人は、会社の歴史を改めて知って、より会社が身近になったと、感慨深げに話をしてくれました。

わが社は過去何回か、会社の存亡まで関わる出来事に遭遇しました。11年前、素材販売のトップの取引会社が破綻し、わが社は大きな負債を抱え、苦渋の選択の末、その会社の従業員をわが社の社員に加えて溶断加工事業を継承しました。

どっちが正しいとか間違いとかではなく、しかし二つの会社の異文化の衝突は、暫くは続きました。二つの制作物の責任者は、前の溶断会社の社員でした。それ以前から梶哲にいた社員、その後新たに入った社員も含めて、わが社は今日あります。

そのような混在感が今まで多少は残っていたとしても、全てが払拭された今回の60周年行事でした。色々な事が重なりましたが、思わぬ誤算もあって、全員が「やらされ感ではなく、やりきった気持ち」になれた11月22日でした。

12月に入り、梶哲商店は既に創立61年を迎えております。大きな節目を越えて、新たなスタートラインに立った心境です。皆様の出逢いとご縁を今後とも大切に、社員一丸となって、これからも鉄を通して皆様のお役に立ちたいと存じます。  ~このシリーズは今回を持って終わります~
コメント (2)
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