風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「家路」

2018-06-30 | 映画・芝居・TV


原発事故後の福島が舞台。
先祖代々住み、生まれ暮らしてきた家を追われた家族は
根っこを失いバラバラになっていく。
そこに高校を中退して出て行った次男がひょっこり帰ってきて・・・

「未来を作るエネルギー 原子力」の看板の下で
誰もいなくなった街を見渡す次郎。
それだけで十分考えさせられるシーンだ。
未来を作るはずが、その未来を失ってしまったこの町の人々。
この「未来」とは決して自分たちの未来ではなく
ほかの誰かの未来だったということか。

根っこを失うことにより
人間は結びつきを失っていくというメッセージを感じる映画。
地方から出ていった人たちが作り上げる大都市の弊害、
そしてその大都市によって動かされている
いまの日本の弊害の根底の部分を描いているように思う。
根をはることの大切さ、人と人との結びつきの大切さ。
それは決して、便利さを追い求めた結果の、
現代科学によってなされるものではないという皮肉。
仮設住宅に住む過酷さを疑似体験できると同時に
表面的には見えない心の荒廃も実感した。

松山ケンイチや内田朝陽、田中裕子の好演はもちろんのこと、
やはりこの映画でも安藤サクラの凄さが際立つ。

ドキュメンタリー映画で有名な監督により
オールロケで撮影され、2014年公開。
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