著者は広島出身の東京大学の学生と担当教授。
最新のAI技術を使って、古いモノクロ写真をカラー化している。
粒子が荒く、輪郭もボケている白黒写真を見ると
どうしても「過去のできこと」として距離をおきがちだが、
こうやってカラー化するだけで身近に感じるから不思議。
写っている人たちが生き生きして見える。
戦闘の場面もリアルに感じる。
戦争のことを、我々経験していない世代の人間は
つい暗く重苦しい時代に思ってしまうが
今と同じく人々の暮らしがあり、笑顔もある。
家族が集い、子どもたちは遊んでいる。
その生き生きとした人々の上に爆弾が落ち、
機銃掃射が襲い、原子爆弾が炸裂した。
特に沖縄の市井の人々の暮らしが痛ましい。
こういう本を(広島出身で平和教育を受けてきたとはいえ)
21歳の若い人が企画し、出したというところに
大きな意味があるのではないか?
終戦から76年が経ち、経験者が少なくなっている今
こうやって語り継ぐことこそ現代に生きる我々の義務だろう。
「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」
庭田安珠・渡邉英徳:著 光文社新書