音楽
2019-07-08 | 音楽
年配者がよく言う言葉のひとつに
「昔の歌は良かった。今の歌はわからない」
というものがある。
でもそれって違うんじゃないかと思うんだ。
確かに自分にも思い入れのある曲はたくさんあるし
それは大概10代、20代の頃に聴いた曲。
「昔の歌は良かった」と言えなくもない。
でも我々より上の世代の方々も確か同じことを言っていた。
結局、歌は歌だけではなく、
それを聴いたときの情景まで一緒に記憶の中に仕舞われていて
メロディが流れると同時に当時の情景や感情までもが
心の中に再生されるんじゃないかと思うんだ。
たとえば大橋純子さんの「たそがれマイラブ」という曲がある。
私が18歳、高校最後の年だ。
当然、不安や期待、将来への夢、受験の重苦しさなど、
様々な感情に包まれていた時代。
そんな時に聴いた曲は深く心に刻まれるはず。
そしてその翌年、大学に入学して故郷を離れた年に聴いていた
ユーミンのアルバム「悲しいほどお天気」に入っていた曲は
新しい世界に触れたばかりの敏感な心に響いた。
それを今の若い人たちに「いい曲だろう?」と聴かせても
当時聞いた我々ほど心に響くだろうか。
先輩たちには先輩たちの世代が聴いた名曲がある。
若い人たちには彼らの世代が聴く名曲がある。
そんなことを考えると、個別の曲がすごいのではなく、
情景や感情や、時には匂いまで蘇らせてくれる
音楽というものそのものがすごいと思うのだ。