風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「高村光太郎の戦後」

2019-07-25 | 読書


読んだ本ではない。
新聞の読書欄で目に止まった本を紹介。
というか、書評が気になった。

戦中は国民を鼓舞するような作品を多数発表し、
空襲で焼け出された後、
戦後花巻で7年間の隠遁生活を送った光太郎について
追体験しながら記録した本だという。
戦中の自らの責任を痛感しつつ、
亡き妻を思いながら山荘にひとり籠もった光太郎は
何を思って日々暮らしていたのか。
そこには宮沢賢治への想いも結構あったのではないか。

老彫刻家が、もう亡くなって10年以上になっていた
当時まだ無名の詩人で童話作家の懐に抱かれ、
亡き妻の名を山中で呼びながら過ごした7年間の想いは
凡人は想像するしかないのだが、
著者は宮沢賢治研究者としても著名なので
賢治方面からアプローチしつつ
少しでもそれを理解しようとした著者の試みなのだろう。
それだけでも興味が湧く。
さすが青土社。まだまだ硬派の本を出している。

にしても、
「言葉も通じない」ってことはないだろう(笑)

「高村光太郎の戦後」中村稔:著 青土社
コメント
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