風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

価値観の変化と共生

2015-11-06 | 文化

「昭和な時代はこんな場所でもタバコが吸えた」ランキングを見、
ちょっと感じたことをあえて「文化」カテゴリーで。

このランキングを見た若い人たちから
「野蛮な時代」「無神経な時代」「ガサツな時代」と
吐き捨てるようなコメントがたくさん書かれている。
まずはそれに違和感。
価値観は時代とともに変わる。
ワタシが学生時代、タバコと酒は大人の象徴で
すべての人とは言わないが、憧れていた高校生たちが多かった。
そんな価値観が現代は変わってしまっただけ。
明治維新でちょんまげが時代遅れとなったのと同じだ。

かつての日本は野蛮で無神経でガサツだったのではなく
自由度、許容度の幅が広く人間関係が暖かかったのだ。
というと喫煙者の勝手な論理と反論する人たちもあろうが
例えば長距離列車の中で隣同士食べ物を交換しあったり
地域の学校の運動会を子どもがいなくてもニコニコ見に行ったり
自分は多少損してでも困ってる人に手を貸したり
多少学校の成績が悪くても別な良い点をみんなで見つけ評価したり
現代の若者には信じられないことがたくさんあるだろう。
そういうことを考えると現代の方がガサツというか
ギスギスした人間関係で生きにくい世の中だと思うのだ。

ちなみにタバコに関して
健康問題とマナーの問題はこの際脇に置いておく。
なぜなら今の喫煙・嫌煙問題はそれらがゴッチャになっているため
それぞれの話が全く噛み合っていないから。
健康問題は、昨今ちょっと神経質になりすぎだし
(タバコに害がないとは言わないが、
 例えば洗剤や消臭剤など「殺菌しすぎだろ」と。
 同じようにほんの少しの副流煙気にするぐらいなら
 ファストフードやコンビニ食品の添加物考えるべきと思う)
マナーはタバコに限らず守らない人間が悪い。
(とはいえタバコマナーはかつてに比べて格段に良くなっている)
問題にしたいのは「他人への攻撃」「重箱の隅をつつく人間関係」だ。

「うるさいから」と保育園の新設を認めない地域があるという。
会社でも学校でも「目立つ奴は気に食わない」と攻撃されるという。
電車で隣の席からちょっとでも荷物がはみ出せば睨みつける。
妊婦や子連れは舌打ちされる。
田舎で、都会に比べれば比較的昭和な当地でも
「学校の運動会開催合図の狼煙がうるさい」と苦情が出る。
他人に厳しく揚げ足を取り、考えが合わなければ攻撃する風潮が
周囲の対人だけでなく、
隣国への敵対意識にもつながっている気がするのだが。

(当然マナーを守ることを前提に)
自分の健康に対する責任を理解した上で喫煙する人も
大酒を飲む人も、ギャンブルや風俗に通う人も
アニメが好きな人も、車が好きな人も、ブランド好きも、
金持ちも、お金に困っている人も、
日本人も、中国人も、シリア人も、ドイツ人も、ケニア人も、
白人も、黒人も、アジア人も、アフリカ人も、少数民族も、
みんながお互いを認め合って共生することこそ
本当の幸せと恒久平和を生み出す理想だと思うのだ。
まずは身近なところから。

「世界が全体幸福にならないうちは
 個人の幸福はありえない」(宮沢賢治)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする