風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「嫁の遺言」

2014-01-23 | 読書
女重松清というか、女伊集院静というか、
不器用でどうしようもない男たちばかりということでいえば
女浅田次郎でも良いのかも知れないけれど、
とにかくハートウォームで心の中が温かくなる短編集。
ま、不器用でどうしようもない男たちが出てるということは
女たちもみんなそれなりに不器用でどうしようもないんだけど(笑)
「急がなくたって、うまく世間を泳げなくたっていいんだ」
「背伸びせず、等身大の自分で生きていきたい」
と思える読後感。
淡々とした日常の1コマ1コマが大切に思える。
個人的には「いちばんめ」と「あの人への年賀状」。
「おかえり、ボギー」や「あんた」にもホロリとしたけどね。

初めて読んだ作家だし
自分でヘタな感想をこれ以上書くよりも
「読書メーター」に載っている方々の感想が的確なので
ちょっと一部引用させてもらおう。

「密やかなため息のように語られる七つの物語。
 あの時、あっちの角を曲がっていたら
 どんな風景が見られたんだろう。
 もう二度とは見られないその時のあちら側。
 ふっとそう思う時、
 何故だかちくりとした懐かしさと切なさが胸をよぎる。
 この本を読むとそれと同じ気持ちになる。
 取り返しのつかない年月を思って
 一日を大切に生きれたらいいなと思う。」

「『いちばんめ』いいなぁ。
 いちばんめっていうタイトル。
 なんだかちょっと恥ずかしい。
 『嫁の遺言』もほろっとするし。
 この短編集は不器用な私に向いてる。」

「嫁の遺言」加藤元:著 講談社文庫
コメント
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