風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「悪人」

2012-02-02 | 読書
誰が悪人?
どこにも本当の意味での悪人は出て来ない。
いや、本当の悪人なんてきっとどこにもいない。
それでも世間は「きっとこうだろう」と
勝手な想像の元でレッテルを貼りたがる。
ネットのニュースのほんの短い情報だけしか読まず
そのひとつひとつに対して
「こんなやつは・・・」「いらない人間」などと
簡単に切り捨て、レッテルを貼っていく人達は
この本(または映画)をどう思うのだろう。

「あんた、大切な人はおるね?
 その人の幸せな様子を思うだけで、
 自分までうれしくなってくるような人は。
 今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。
 自分には失うものがないち思い込んで、
 それで強くなった気になっとう。
 だけんやろ、自分が余裕のある人間て思いくさって、
 失ったり、欲しがったりする人間を、
 馬鹿にした目で眺めとう。
 そうじゃないとよ。
 それじゃ人間は駄目とよ。」
登場人物のこの言葉を読み
「自分の大切な人は?」と自問自答した。
皆さんは?

「悪人(上・下)」吉田修一:著 朝日文庫
コメント
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