風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

高校2年の頃のこと

2012-02-09 | 風屋日記
特筆すべきことは何もしなかった1年間。
憧れの先輩のためにひと肌脱ぎ、
人数を集めて再興した声楽部も、
元々やりたかったことではなかったので
大人数で方向性が決まり軌道に乗ると同時に醒め
先輩の卒業と同時に顔を出さなくなった。
夏休みまでの前期は
前年後期に続いて生徒会執行部も務めたが
自分達が中心となるべき後期は選挙にも出なかった。
応援団幹部選挙は天邪鬼を起こし直前で出るのを止めた。
とは言え、当然ながら勉強に精を出すわけでもなく、
大学生活への憧れは持ちながらも
受験勉強に対しては斜に構えていた。
皆が部活や生徒会や応援団活動に青春を賭けていた頃
ワタシは毎日学校帰りにいつもの本屋へ寄り
200~300円だった文庫本を買っては
これまたいつものJAZZ喫茶で250円の珈琲を啜りながら
本を読み、マスターからJAZZの講義を受けていた。

あの頃一番ハマっていたのは
ちょっとクールでアンニュイな哲学ながら
どこか切ない雰囲気のアルベール・カミュだったが、
その他ドーデ、サルトルなどの仏文ものをよく読んでいた。
トマス・マンやヘッセなどのドイツものも読んだし、
日本のものでは堀辰雄や立原道造、中原中也など
詩歌に近いものが多かったが
いずれ19世紀末から20世紀前半のものが多かったと思う。
ニーチェやカントなど、あえて哲学書のページを、
わけが分からないながら繰っていたのもこの頃のこと。

JAZZ喫茶「エル・グレコ」のマスターに教わったのは
バド・パウエルやキース・ジャレット、チック・コリアなど
あの頃メジャーだったピアノものが多かったけれど
スタッフやクルセダーズ、ラリー・カールトン・・・
これまた当時流行の
クロスオーバー界をリードした人達のこともよく聞いた。
(クロスオーバー→その後フュージョンと言われた)
夜23時15分からのNHK-FM「クロスオーバー11」を
毎晩聴いては予習・復習を怠らなかった(笑)
マスターからは珈琲のこともいろいろ教わったな。

あまり友人達とつるむこともなく
夕方になると家に帰って夕飯後にはまた本を開く毎日。
夜中、FMから流れてくるクールな音楽を聴きながら
イヤホンをしていないもう片方の耳には
東京行き夜行出発を知らせる花巻駅のアナウンスが
夜気に乗って遠くかすかに聞こえ、
これからの自分の将来への期待と不安の中、
やたらセンチメンタルな気持ちを抱いていた日々だった。

特筆すべきことが何もなかった1年だけれど
様々インプットすることができ、
その後の自己形成のため必要な1年だったのかもしれないと
今になって思ったりもしている。
コメント
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