風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

シリーズ「風屋的に今年を振り返る」vol.4

2005-12-23 | 風屋日記
最後に、私が今年読み、知り、考え、感じたこと。

    ◇      ◇      ◇

半藤一利氏の「昭和史」は出色の本だった。
日本がどのようにこれまでの道を選択し、その結果どうだったのか、
広く、高い視野で描いた本だった。
これまで半藤氏の著作を読んだことはなかったが
今後その動向や新作を注目したい作家の1人となった。

相変わらず心の柔らかいところをついてくる
重松清氏の「その日の前に」も心に残った作品だった。

    ◇      ◇      ◇

今年も大きな地震がバキスタンやイラン、中国であった。
アメリカではハリケーンの被害も甚大だった。
自然の脅威の前に人間の力なんてのは無力。
自然には自然の必然があり、
人は細々と自分の命や生活を守ることすらできない。
もっと自然に対する謙虚さを持つべきなのだろうと思う。

    ◇      ◇      ◇

フランスで暴動があり、イギリスでテロがあった。
イラクやインドネシアのバリ島でも相変わらずテロが続き、
アフリカでも民族同士の争い事が絶えない。
日本は「国際貢献」を旗印に自衛隊をイラクへ派遣しているが、
イラク以外の紛争には知らん顔。
銃や装甲車を備えた「国際貢献活動」は
果たして本当に日本は求められているのだろうか。
とある南米の政府関係者が
「日本のODAには国民全員が心から感謝しているのだが、
 年々その額は減らされ、防衛費に回っていることを残念に思う」
と新聞にコメントを載せていた。
私達ができることは、本当は何なのか。
言葉を使った対話は私達には必要ではないのか。
よく考えてみなければならない時期に来ていると思うのだが。

    ◇      ◇      ◇

長男が挑戦するセンター試験まで1ヶ月を切った。
自分の夢に向かって目標は定まっている。
国立の受験先候補が4大学5学科(センター試験次第で決定)。
私立は3校。
どこも彼が学びたい「東南アジアの言語と文化」を研究できる。
2月に受験に行くための宿泊先も予約が済んだ。
どのように自分の夢を掴むのか、あとは見守るだけだ。
「比較文化学」「文化人類学」「言語学」「民俗学」「音声学」
長男が選択できる分野はまだまだ広い。
受験先はどこもいい大学だ。じっくり取り組めばいい。

そして学んだことが民族同士の対話や
争い事を避けるための相互理解の一助となればなお嬉しい。
決して偉くなる必要はない。
人々の中で汗を流せる人間になってもらえばそれでいい。

    ◇      ◇      ◇

今年も終る。
来年にまた新しい希望の灯をともし続けながら。
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