風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

恐い話・驚く話

2004-11-21 | 風屋日記
小泉首相が「行政改革をうたって首相になりながら何もやっていない」
という声が野党にも巷にもあるが、それは間違いだ。

愛国心をうたう憲法改正論議が具体的となり、
社会保障制度の改正をちらつかせて、制度の根幹をゆるがせ、
戦後初めて戦争当事国へ自衛隊を派遣し、
そして今、憲法9条とともに「平和な国日本」のもう一方の旗印である
「武器輸出禁止原則」をもないがしろにした武器輸出緩和策を打ち出した。
10年前までは想像すらできなかったことを次々実行に移し、
戦後の首相の中では「出色の働き」だ。

1年前のイラクへの自衛隊派遣承認採決の時、自公ともに派遣へのベクトルを示す中で、
自民党の重鎮であった野中広務・古賀誠両氏が反対の意思表示をした。
11/19(金)の朝日新聞に「三者三論」というコーナーがあり、
「延長? 自衛隊イラク派遣」と題して、その古賀氏の意見が載っていた。
自民党の中でも最も保守的とされる日本遺族会系の議員のトップとして、
同会会長を勤める古賀氏の意見の中で特に目を引いたのは、
 ~あの大東亜戦争は、政治の貧困というか、
  国政に携わる1人ひとりの責任が明らかにされない中で引き起こされたと思う。 
  「いつか来た道」には、極めて臆病でなければならない。
  ひとつ風穴が通るとずるずると押し流される。
  既成事実を積み重ねた結果、大きな犠牲につながっていくのではないか。
  非常に恐いことだ。~
という部分だった。
首相はこれをどう読んだのだろう。

一方「三者」のうちのもう1人である、元防衛施設庁長官の宝珠山昇氏は
「テロリストを勇気づける以外の何ものでもない」
から自衛隊の"撤収"(撤退ではないそうだ)は論外だという。
そして
 ~陸上自衛隊の数万人規模の人員削減案が検討されているようだが、
  派遣された隊員が「オレたちのやっていることは評価されていないのか」
  と不安になり、士気低下につながることが心配だ~
と述べている。
たった(とあえて言うが)それだけの理由?
たったそれだけのために何百億もの税金を投入しろと言っているのか?
隊員1人の人件費がざっと500万円とすると(間接人件費を含めればそれ位にはなろう)
10人で5000万円、100人で5億円、1000人で50億円だ。
「数万人」が、最低ラインの1万人だとすると、ざっと500億円の税金が
人を雇うだけに使われていることになる。
もちろん制服や使用武器、食費などもあわせればその費用は倍にも膨れる。
500億円の支出は、いったい何人の所得税を集めると賄えるのだろう。
それをたった「士気低下」のためだけに使えと言っている。
尋常な感覚ではないように感じるのは私だけ?

もっとも、為政者のためのモノサシであるはずの憲法に「愛国心」を盛り込んだり、
憲法9条があるのに武器を持った自衛隊を他国へ派遣したりしていることを考えれば、
宝珠山さんの意見は驚くほどのことでもないかもしれないが・・・。

いずれにせよ、小泉さんは選挙にさえ勝てば官軍だと思っているかもしれないが、
賢明な国民が、いつまでもぶつくさ愚痴を言っているだけだと思ったら大間違いだ。
コメント (4)
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