公式サイトはこちら ステージ円 5,6日のみ 大人1000円 子ども500円
快晴のこどもの日、演劇集団円・演出部による不定期リーディング公演の一環として、こどもの日のための番外編が行われた。
*浜崎ゆう子の幻想的な影絵の世界
オスカー・ワイルド作『幸福の王子』
日本民話より『ねずみの嫁入り』
浜崎ゆう子影絵制作 小森昭宏音楽 谷川清美出演 乙倉遥助演?
*久保田万太郎の児童劇を読む『北風のくれたテーブルかけ』
久保田万太郎作~北欧民話による~ 小森美巳演出
円のこどもステージに訪れるのは実に26年ぶり。前回は中村伸郎さん主演、別役実の『赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス』であった。今回も劇場前方の桟敷に子どもたち、うしろのベンチと椅子席に大人が座る形式だ。子どもたちもとまどう様子なく、いくつかの親子が誘い合って気軽に訪れているような印象だ。
上演前からさっそくきょうだい喧嘩をはじめて泣き出す男の子がいたり、大変ににぎやかだ。
出演俳優は客席案内も兼ねており、小森創介さんは子どもたちの喧嘩の仲裁役も。ちゃんと両方の言い分を聞き、仲直りさせる。自然でおみごとであった。手慣れているというより、このステージをとても大切にしていることが伝わってくる。
影絵作家浜崎ゆう子の作品はテレビドラマ『火の魚』(室生犀星原作 渡辺あや脚本)でも披露された。原田芳雄の老作家になかば強要されて、尾野真千子の編集者がみせた影絵がそれである。ドラマに登場した『幸福の王子』、それからもう1本『ねずみの嫁取り』が続けて上演された。影絵は紙芝居のサイズで、舞台でみるには小さいかなと思ったが、子どもたちは驚くほどの集中力でみつめている。影絵上演後、谷川清美より「お声がけがあればどこへでも上演に行きます」とのこと。お寺の本堂や教会堂、夕暮れの公園などなど、いろいろな場所で楽しみたい作品だ。
続いて久保田万太郎の『北風がくれたテーブルかけ』である。
当日リーフレットには、演出の小森美巳による劇作家久保田万太郎のこと、彼が書いたおよそ30編の児童劇について簡潔でわかりやすい解説が掲載されている。数年前に『かうして豆は煮えました』をみたときには仰天したが、北欧の民話に題材をとったという今回の作品はわりあいわかりやすく、楽しい作りである。
若手の小森創介と乙倉遥は「効果団」として下手に陣取り、さまざまな道具を駆使して音響効果を、小森はギターを弾きながら物語の案内役とト書き読みも担当する。
北風のおじさんに金田昭夫、主人公の母親に高林由紀子のベテランふたり、宿屋の夫婦に中堅(上杉洋一、中條サエ子)主人公に若手(冠野智美)がバランスよく配された贅沢なキャスティングだ。
俳優は役柄に応じた衣装をつけており、どんどん動く。舞台に椅子はない。しかし台本を手に持って、読みながら演じるのである。そこに不自然な印象をもった。ここまで動きをつけるなら、あとひといき稽古をして台本を放し、本式の上演にしてもよかったのではないか。
「久保田万太郎の児童劇を読む」リーディング公演と銘打つなら、もっと違う工夫と趣向で「劇を読む」「それを聴く」ことを子どもたちにみせてほしかったのだが。
大喜びする子どもたち、それを嬉しそうにみつめる親御さん。
円のこどもステージが必ずプレゼントしてくれるのは、舞台の楽しさに加えて、それを楽しんでいる人をみる幸せだ。舞台と客席のりょうほうから花束をもらう。客席のたくさんの可愛らしい笑顔にありがとうと言いたくなるのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます