マスコミが信用できないのは、それで金をもらっている人が、喋ったり書いたりしているからだ。その点を鋭く突いたのが、山本夏彦であった。山本は「言葉は売買されて久しいというより、売買されない言論はなくなってしまった。新聞雑誌で、またテレビ、ラジオで語れば金をくれる。くれれば、くれた人が言わせたいだろうことを、察して言うしかない。各界名士は、毎日それを言うから名士なのである」(『編集兼発行人』)と書いている。まさしくそのものずばりではないか。これに対して、自費出版しても、立って街頭演説しても、売買されない言論は信用されてこなかったのである。大新聞やテレビの言うことであれば、それだけで信じてしまうのが大衆であったのだ。なぜ過去形を使うかと言うと、事情が少しばかり変わりつつあるからだ。いうまでもなくネットの出現である。ブログの書き手全てに金を渡すことは不可能だから、売買されない言論が一定の力を持ち始めているのだ。だからこそ、マスコミがこぞって民主党政権を擁護しても、それを批判するネット言論によって、野田佳彦首相などは物笑いの種になっているのだ。今のような不況の時代にあっては、一番の金の出所は国である。媚びなければ金がもらえないのだから、テレビに出るコメンテーターなどは、ギャラを目当てに尾っぽを振るのである。それをまず念頭に置いて、マスコミと接するべきだろう。公正中立はあくまでも表向きでしかなく、山本が書いている通りで、全ては金次第なのである。
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