メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

そのときは彼によろしく

2007-06-14 22:35:23 | 映画
「そのときは彼によろしく」(2007年、114分)
監督:平川雄一朗、原作:市川拓司、脚本:いずみ吉紘
長澤まさみ、山田孝之、塚本高史、国仲涼子、北川景子、和久井映見、小日向文世
 
小さいときに出会い将来を誓い合った男二人と女一人、その回想と会えなかったり死と闘ったりの現在の交錯、しかしあまりに回想シーンが多く、人間そんなに過去に束縛され、現在の具体的な日常を切り開いていくことはないのか、と見ていていらいらしてくる。
 
主人公の一人は水草の販売と世話の店をやっているのだが、彼が説明する生態系の美しいバランスの世界、ストーリーも映画の作りも、それとの対照から逸脱するところはない。
 
それにしてもあの結末はないだろう。一つ手前で終わっておけば、見るものはもう少し物語をふくらませただろうに。
 
二人の男のなかで、塚本は長澤の初主演「ロボコン」(2003)のときから見違えるような大人の姿になったが、山田はどうしても長澤と並ぶと、姿も雰囲気も合わない。
 
さて主人公の長澤まさみ、こういう映画でも、出てくるシーンの一つ一つでスターの絵になっている。映画の出来、演技だけに集中した評価とは別に、これはたいしたことだ。台詞も男がきいていて女の存在感を常に感じさせる。
しかし、そろそろもっと背伸びした役を与えてほしい。一般の評価とは違って、その結果だけ見ればうまい役者であるのだから。
 
同じ市川拓司の「いま、会いにゆきます」、映画は見ていないが、原作は読んだ。この人の本を映画化したがるのはわからないでもないが、言葉の世界だけの方が、受け取る側にもより多様なあやが出てくるのではないか。
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