メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

バルトーク「青ひげ公の城」

2024-06-06 16:44:02 | 音楽一般
バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」
指揮:ワレリー・ゲルギエフ、演出:マリウシュ・トレリンスキ
ミハイル・ペトレンコ(青ひげ公)、ナディア・ミカエレ(ユディット)
2015年3月28日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
2024年6月 WOWOW

音楽としてはブーレーズが指揮したものを聴いたと思うが、映像を見た記憶はない。メトのオーケストラが来日、そのプログラムの中に「青ひげ公の城」の演奏会式上演が入っていることから過去の上演映像がWOWOWで放送された。
 
バルトークだし何か暗く悲劇的な先入観があり事実その通りなのだが、この話しのルーツはペローの童話集で、力と財を持っているがひげが青くもてない男がいて、財をねらった姉妹が男に近づき、部屋の鍵を預けられるが開けることは禁じられ、それでも男が不在の時に開けてしまい、という話し。しかしオペラでは悲劇になるが、童話では間一髪青ひげをやっつけ、めでたしめでたし姉妹は幸せになる。教訓を含めよくあるパターンである。
これから派生したメーテルリンク版をバラージュが脚本化、バルトークがオペラにした。1時間ほどの短いもの。
 
あまり感情移入していけないが、先入観としてはこわい青ひげが支配者で、特にこの演出では青ひげのところに来るユディットが青い衣装、こわがってはいないだろうと想像される。
進行とともにユディットと身も心も一緒になるには男はすべてを投げ出し空にならないといけないという恐怖感があるのではと思えてくる。実際女と男ではそうなので、そう思えてくるとこの劇の進行は不思議でない。
 
音楽はかなり凝った進行らしいが、そのあたり歌唱としてはあまり乗っていけず受け取るのはなかなか難しい。
 
演じるのは二人だけ、ここはユディット役ミカエレの表現が強い印象をのこす。
ところで指揮はゲルギエフ、プーチンとの仲から問題ないのかと思ったが、この上演は2015年、まだ今のような状況ではなかった。



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