「ドガ展」(横浜美術館、2010年9月18日~12月31日)
オルセー美術館改装のため、なかなか出せない名画「エトワール」を中心とした展示が出来たのだろう。
エドガー・ドガ(1834-1917)のここにある120点ちかくを見ると、この人にはあまり完成までもっていかなかった作品が多いようだ。
その中では、やはり「エトワール」そして案外彫刻の完成度が高いと感じられた。
「エトワール」、この意外に小さい絵は、ドガがバレエの世界を描いたもののなかでも別格である。もちろん、ちょうど着地した瞬間をとらえた着想とその表現、有名な背後に半身をのぞかせているパトロンらしき影、そういうものも見事だけれど、あっと感じたのはこの舞台のそして絵そのものの「光」である。近づいていったとき、これは絵でなくてバックライトのある液晶画面かと思ったくらいだ。
これに類した体験は速水御舟の「炎舞」くらいだろうか。
彫刻で生前発表された唯一のものといわれる「14歳の小さな踊り子」は50センチくいらいのものだが、いまにも動き出しそうだ。
そしいくつもの小さいバレエのポーズは、確かブリヂストンにも何かあったと思うけれども、さすがバレエを長く観察していただけあって、例えば二体展示されていたアラベスクなど、身体のバランス感が見事である。