メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ビゼー「カルメン」(ヴェローナ野外劇場)

2023-04-23 10:14:14 | 音楽一般
ビゼー:歌劇「カルメン」
ゼッフィレッリ生誕100年 ヴェローナ野外劇場
指揮:マルコ・アルミリアート、演出・美術:フランコ・ゼッフィレッリ
エリーナ・ガランチャ(カルメン)、ブライアン・ジェイド(ドン・ホセ)、クラウディオ・スグーラ(エスカミーリオ)、マリア・テレーザ・レーヴァ(ミカエラ)、ガブリエーレ・サゴーナ(スニーガ)、ピアシオ・ピッツーティ
アントニオ・ガデス舞踏団、ヴェローナ野外劇場管弦楽団
2022年8月11、14日   2023年4月NHK BSP

ひさしぶりのカルメン、野外劇場だと大味かもしれずどうしようかと思ったが、ゼッフィレッリ生誕100年記念でこの人の演出・美術はどうだったのかということにひかれた。
 
ドラマとしてはカルメン、ホセ、エスカミーリオ、ミカエラの関係を見ていけばいいのだが、オペラとしてはセビリア、時代、その社会、民衆、闘牛場など、その中でのストーリーとして見せようというものだから、演出特に多くの人の動きと美術は見せようがある。
そこはゼッフィレッリで、カルメンははじめて見たが、あの見事な「ボエーム」に通じるところがある。
 
カルメンもボエームもあの時代、社会の人たち、時代の流れ・雰囲気のなかでの何人かのドラマということで、音楽の中でいきいきとしてくるのは確かだ。
この作品もたばこ工場、軍隊、闘牛、密輸団など、やはり色を添える以上のものがある。
 
野外劇場ということから音がどうかなと思ったが、さすが最近は録音、バランスが秀逸、現地で聴くより聴きやすいかもしれない。
 
配役だが、ホセのジェイドはもうすこしひ弱そうな感じもほしいがまずまず、ミカエラのレーヴァはホセを諭し迫る歌唱がいい。エスカミーリオのスグーラは長身、かっこいいというか、歌唱もカルメンがなびくのもねという感じ。
 
さてそこでカルメンのガランチャ、どうしても12年前のメトロポリタンのイメージが強く、あの時は歌唱もいいがとにかくあの美貌と男がころっといきそうな肢体、身振り、これ以上のカルメンがいるだろうか、と思ってしまった。
 
今回、歌唱は問題ないし、ホセを手玉にとるちょっと年増のカルメンはうまく演じているが、私の趣味からするとカルメンはもうすこし若く見えて実は内面は男よりかなり大人という方がいい。野外劇場だからアップの映像にフィットする表現にはならないのだろうが。
 
アントニオ・ガデスのダンスは楽しめた。
指揮のマルコ・アルミリアート、たしかメトロポリタンでよく見ていると思うが、こういう雰囲気だし、うまくやっていた。
 
ちょっと思いついたのだけれど、この作品で、男と女の関係は闘牛なんだろうか。
 
いろいろうるさいことをいうオペラ好きも、本当に好きなのは「椿姫」、「カルメン」、「ボエーム」という説があるが、多分そのとおりだと思う。



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