メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

007 / カジノ・ロワイヤル(1967)

2022-10-10 09:35:09 | 映画
007 / カジノ・ロワイヤル (1967) (Casino Royale、1967英米、131分)
製作:チャールズ・K・フェルドマン、監督:ジョン・ヒューストン他4名
音楽:バート・バカラック(作曲)、ハル・デヴィッド(作詞)、ハープ・アルバート&ティファナ・ブラス(演奏)、ダスティ・スプリングフィールド(歌)
ディヴィッド・ニーヴン(ボンド)、ピーター・セラーズ(トレンブル)、ウルスラ・アンドレス(ヴェスパー)、オーソン・ウェルズ(ルシッフル)、;デボラ・カー(ミミ)、ウィリアム・ホールデン、ピーター・オトゥール、ジョン・ヒューストン、ジャン・ポール・ベルモンド
  
先にアップしたダニエル・クレイグ主演の同名作品の時にも書いたが、あれに先立つこの1967年版、20年近く前におそらくレンタルビデオで見てその後も機会を探していたのだが、ようやくDVDで見ることができた。
 
1962年「殺しの番号」のあと同じくショーン・コネリーで映画化されようとしたのだが、諸事情で実現せず、そのかわりと言ってはなんだが、こういうとんでもない形で実現(?)した。
 
豪華キャストで作られたパロディで、まじめに批評してもしょうがないのだが、面白さhいろいろある。製作、監督に多くの人がかかわっているけれど、想像するにこの時はウディ・アレンがいろいろアイデアを出していたのではないか。
  
各国情報部のメンバが次々とやられ、引退していた初代ボンドにお出まし願いたいという依頼が来る。初老にはいろうかというこの役にニ―ヴンがよくあっている。そのあと何人もの偽ボンドなるもの(男女)を登場させ、色仕掛けやドタバタが続いていく。
 
クレイグ版で相手となったヴェスパーはここでは初代ボンド・ガールのウルスラ・アンドレスで、前者よりさらに積極的な役割になっている。存在感もありうまい。
 
対抗する相手、カードの達人ルシッフルはなんとオーソン・ウェルズで、でっぷりした体躯とひょうひょうとした演技で見せる。ただカードはクレイグ版がポーカーだったのに対しここではバカラで、それだけ勝負は単純、ここで盛り上げるという感じではない。
 
盛りだくさんの有名俳優の多くはカメオ出演に近いが、その中でよくこんな役をやったなと思ったのはデボラ・カー、彼女もこういうの一度はやりたかったか。
 
パロディだからもうすこし進行がスムーズで尺も短い方がよかったと思う。特に前半はちょっとくどくて眠くなることもあった。
 
それでもコネリーのシリーズがそんなにでていなかったこの時期に、カーチェイスとそれに使うギミックというかとんでもない装置、宇宙船、(当時のイメージで未来的な)迷宮、迷路、CIAの登場は西部劇の騎兵隊(!)とか、ふざけるにもほどがあるが、これが後のオースティン・パワーズシリーズなどに影響を与えたという説もあり、時間がたつにつれなんらかの評価も出てきたようだ。
 
とはいえ、この映画が史上燦然と輝く不滅のものとなったのはなんといってもバート・バカラックの音楽で、しっとりしたもの、ふざけたもの、そのほか見事というしかない。サウンドトラックのアルバムを聴く価値、買う価値があるものは少ないが、これはその一つ。


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